■GOOD AQUA■

Shinnersia rivularis

メキシカン(ズ) バーレン

 

<特徴>

 この草の一番の特徴は、やはり「生長が速い」、これに尽きると思います。二酸化炭素を強制添加している軟水の水槽に植えると、短くトリミングしても数日で水面に達してしまいます。
 しかし、生長が速いということは水の浄化能力が高いということでもあり、水槽をセットした直後に植えておくと、環境の安定に大いに貢献してくれます。同様の働きはハイグロフィラなどにも担わせることができますが、メキシカンズ バーレンは、ハイグロフィラに比べると細かい根が少なく、トリミングを繰り返してもハイグロフィラほど砂をひっくり返したり底床肥料を引きずり出してしまったりすることが少なくてすみます。
 また、上部濾過器を使っている場合など光量が少な目の水槽でも、それなりに生長が速いので、様々な場面で活用することが可能です。

葉の色彩と形状については、大きく分けて2つに変化します。
まず、中・高光量の時に見られる、頂葉がややピンクがかり葉幅が広く葉縁が羽形になった姿です。水面近くになると、この姿になることが多いです。また、一旦水面まで達してこの姿になった草体は、トリミングで摘み下ろして低光量になったとしても、しばらくはこの姿を保ちます。
一方、低光量で育てていたり、水面近くに届かないようにトリミングを頻繁に繰り返しながら育てていると、葉の縁周の切れ込みが消え、ハイグロフィラのようなヘラ形の葉になります。また、葉の色から赤味がまったく無くなってしまうこともあります。

 

 

<用途>

 以上のような個性を持つ草ですから、レイアウトに使う場合には、その個性を踏まえた配置が必要です。考え無しに他の草と同じ扱いを施すと「伸び過ぎなんじゃ〜!」と爆発してしまうかもしれません。

 南米産の水草を中心に植えている水槽、すなわち強光量・軟水・CO2強制添加という条件の水槽の場合、レイアウトの中央付近に使うのは危険です。葉は巨大になり、脇芽も多く出て、たちまち他の種類の草を駆逐してしまいます。
 このような条件の水槽では、バックの両サイドが適当な位置です。1本2本ではなく10本ぐらいをまとめて植えると、フィルターの吸水パイプや隅のシリコンを隠すのにちょうど良いです。この位置なら低光量なのでヘラ形の葉になり、あまり目立たないので、背景としてうまく溶け込んでくれます。

 一方、上部濾過器を使ったレイアウト水槽、すなわち中・低光量の水槽では、レイアウトの中央で用いることもできます。この場合、頂葉が赤くなりにくく、かつ、葉縁に切れ込みは入る状態になり易いので、この草の最も美しい姿を観賞できるはずです。

 また、この草は、葉からの肥料の吸収が多いのか、根の部分にあまり肥料が入っていなくても十分に生長します。したがって、この性質を利用して、プラントポットに入れた使い方もできます。茎の下部をウールでくるんでプラントポットにつっこみ、そのままディスカスのベアタンクに放り込む、などという使い方ができるのです。これならポットの中の土や肥料が水質に影響を与える心配もないし、ハイグロフィラのように脇根がたくさん出て見苦しくなることも少ないです。ベアタンクに緑を加えたいときにお勧めします。

 

<育成>

 幅広い水質に適応できる水草で、軟水はもちろん、少々の硬水・アルカリ性の水にも順応します。また、低温・高温にも強いです。

 強光量・軟水・高栄養で育てると、葉が大きく、切り込みも深くなり、やや赤味を帯びたしっかりした姿になります。特に光量が多いと、節間が間延びせずに育ちます。但し、この草にとっては環境が良過ぎるのか、マメなトリミングが必要になります。

 中光量・中性〜弱アルカリ・中栄養で育てると、葉の大きさはふつうで、切り込みが入り、頂葉の赤味はほとんど入りません。
 私としては、この条件が、この草の最も綺麗な姿を観賞できる条件だと思います。
 数本ずつまとめたものを、茎の長さを変え、段差をつけるように配置すると、レイアウトの中にたいへん可憐な階段を作り出すことができます。

 気をつけなければならないのは、低光量・低肥料で育てているときです。低光量だと、この草は光を求めて懸命に茎を伸ばします。その場合、節間は間延びし、貧栄養のために葉は小さく、全体としてひょろひょろになります。
 そして、その条件で水面に達した草体をすぐに摘み下ろすと、草体は弱り切って溶けるようにして枯れてしまうことがあるのです。
 したがって、低光量のときには、肥料切れを起こさないように気をつけてやらねばなりません。

  中光量・CO2強制添加・中肥料で育っている草体です。
葉に赤味はなく、切れ込みが入った美しい形をしていますが、CO2の強制添加を行っている水槽であるため、左側に見えているアンブリアとともに、節間が間延びしてしまっています。

 

水面に達した頂葉です。
下葉に比べると、ずいぶん赤味が強く、
切れ込みも深いです。

01.10.13



HOME
INDEX
BACK