■GOOD AQUA■

Lindernia anagallis

カーナミン(ウォーターカーナミン)

 「カーナミン」の名で呼ばれている水草には、もう一つ
Cardamine lyrata」があります。
 したがって、単に「カーナミン」と言うと両者を混同してしまう危険があります。
 そこで、Lindernia anagallisの方を「ウォーターカーナミン」、Cardamine lyrataの方を「本カーナミン」と呼んで区別するのが一般です。


<特徴>

 この草の一番の特徴は、なんと言ってもその「匂い」です。もちろん水の中に植えている分には匂いませんが、トリミング時にこの草の茎を折ったり切ったりすると、独特の香りが広がります。ただし、決して嫌な匂いではありません。
 水質によって、青味の強い緑から、深い緑、薄い緑、と若干の色に幅があり、様々に楽しめる草です。また、葉の表面に葉脈が白く浮き出るのも美しいです。

 茎は四角い形をしています。硬い上に弾力性もあるので、トリミングのときに爪で切り取ろうとしてもなかなか切れません。初めからハサミで切りにかかる方が賢明です。

 

<用途>

 レイアウトについては、安定した水質で育てていると上へ真っ直ぐに伸びる性質をもっているので、用いる時はその特徴を生かした配置を考えると良いでしょう。

 具体的には、幾何学的な模様のヨーロッパ風レイアウトに用いるなら、ウォーターバコパやロベリアカーディナリスと同じように、1区画を全部この草で埋めると綺麗に見えます。ただしこの草は脇根を出し易いので、最前列ではなく2列目以降に植えて、脇根が出始めても目立たないようにしておくのがコツです。この草は、大きく生長しても、バコパの仲間のように下の葉が茶色く枯れることがあまりありません。したがって、2列目以降に用いても、また後景にすら用いてもレイアウト上の問題が発生しません。その点で大変「おりこう」な草です。

 またこの草は、アクアートの日本式のような和風レイアウトに用いると、更に存在感が出ます。頭の先をちょん切るピンチカットでトリミングすると、たいてい最上部の葉から2本の脇目が対称的に生えてきます。これをさらにピンチカットすると、先が上に伸びずに斜めや横に伸び易くなります。そこで、この性質と、もう一つの「下葉が枯れにくい性質」を利用して、盆栽の松のような姿に仕上げて行くことが可能なのです。このようなことは他の草ではなかなかできません。
 また逆に、トリミングは差し戻ししかしないことにして、脇芽がでないように維持すれば、存在感をぐっと薄くすることができます。あまり光を要求する草ではないので、脇芽が出ていないスッキリした姿のものを他の草の根元に配置すると、完璧な脇役に徹してくれます。

 あるいは、レイアウトを考えていて水槽の両端前方に配置する水草の選定で悩んだときにもこの草は便利です。この草を水槽の端に植えてみると、ピッタリくる場合が多いです。

 

<育成>

・ 酸化炭素の強制添加を行っている弱酸性の水槽でも、添加を行っていない中性付近の水槽でも育てることができます。

・ 光の量は、あまり弱いと矮小化してしまうので(といっても枯れはしません)、60センチ水槽なら2灯以上にします。ただし、だからと言ってあまり強くする必要もありません。3灯点いていれば、他の草の影に完全に入ってしまっていても大丈夫です。

・ 弱アルカリの水質ではちょっと生長が鈍るので、この時に強い光をあてるのは止めた方が良いです。葉のフチに黒房状の藻がつき易くなります。

・ 肥料にはうるさくなく、魚の糞が十分にあればそれだけで十分で、あれこれ文句は言いません。

01.07.10



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