■GOOD AQUA■
Hygrophila polysperma var.
ヒグロフィラ
(ハイグロフィラ ロザエネルヴィス)
<特徴>
ハイグロフィラ ポリスペルマの改良品種です。
ハイグロフィラを育てていると、その育成条件によって、葉脈や頂葉が赤くなることがありますが、この品種は、その傾向の強い個体を掛け合わせて作られたものと思われます。「ロザエネルヴィス」の名前で流通しているものには、大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは、「rosae=バラの、-nervis=葉脈の」の名前の通り、葉の表面に現われた葉脈が赤くなり、その周りの葉色もやや茶色がかった赤色になるタイプです。
ノーマルのハイグロフィラとたいへんよく似ていて、育成条件によっては区別がつかないぐらいです。
次の画像がこちらのタイプですが、条件によっては、もっと葉色が濃くなります。
ハイグロフィラ ロザエネルヴィス
もう1つは、葉脈が白くなり、葉にウェーブがかかるタイプで、こちらは、前者よりも葉の赤色が薄く、明るいピンク色になります。
「ロザエネルヴィス“サンセット”」という名で前者と区別されます。
ただし、以上の2タイプは区別されずに流通していることも多く、ショップで購入する際には、販売名ではなく、自分の目で判断しなければなりません。
ハイグロフィラ |
<用途>
最近はすっかり影の薄くなってしまった感のある水草ですが、90年代のはじめに大流行した草で、どのレイアウト水槽にも使われていたと言ってよいほど人気がありました。ちょっと前のトニナやピンネイトの流行のような感じです。
当時は二酸化炭素の強制添加が今ほど普及していなかったので、赤系の草を育てるのに手こずる人が多く、レイアウトにどうやって「赤」を多くするかに頭を悩ますことが多かったのですが、そんなときに重宝したのがこの草です。赤系の草の中でも、特に“サンセット”はピンクに近い色で、独特の雰囲気を持っています。
そして、特筆すべきは、この草がレイアウト「全体に」及ぼす影響です。
このロザエネルヴィスをレイアウトに組み入れると、なぜか、レイアウト「全体」に可愛さが加わります。ふつうの草だと、草の特徴は、その草の植わっている周囲や、その区画、といった範囲内にのみ影響を及ぼします。
ところが、ロザエネルヴィスを植えると、その周りや区画だけでなく、「レイアウト全体」の印象が変わってしまうのです。
例えば、暗めの色合いの水草を集めて「渋い」感じのレイアウトを作っても、そこにこのロザエネルヴィスを植えると、とたんにポップな可愛いイメージに変わってしまいます。
これだけ影響力のある水草は珍しいです。
したがって、この草をレイアウトに用いるときには、注意が必要です。うかつにこの草を使うと、レイアウトの印象が一変してしまいます。
しかし、逆に言えば、「可愛い」印象を演出したいときには、もってこいの水草です。この草をレイアウトに加えるだけで、ぐっとその狙いに近づけることができます。
また、この草を中心にレイアウトを組めば、華やかなお花畑のような水景を作ることができます。赤色の濃い水草のネサエアや、オレンジがかったニードルリーフルドウィジアなどの種類と組み合わせれば、花壇に蝶が舞っているような印象になります。グリーンを加えるなら、アンブリアのように、葉色が淡く柔らかで繊細な葉形の草が似合います。少々のアルカリ性の水質になら十分に適応できるので、グッピーを組み合わせても綺麗です。
ただし、いずれにしても、少し女の子っぽい水景になり易いです。
<レイアウトの例> |
<育成>
・ 弱酸性〜弱アルカリ性の幅広い水質に適応します。
・ 二酸化炭素の強制添加はあってもなくても大丈夫です。
ただし、二酸化炭素を強制添加している水槽では、頂葉の緑色が濃くなるために茶色っぽい色合いになり易いです。さらに緑色が濃くなると、ノーマルのハイグロフィラとあまり変わらない色になります。
(こういう傾向があるために、南米産水草向きのセットが主流になっているこの頃は、あまりこの草を見かけなくなっているのかもしれません。)・ 光量は適当でOKです。水質に慣れた個体であれば、蛍光灯1灯でも育成可能です。
しかし、光量が少ないと、薄緑色の葉色になり易いです。
右の画像は、光があたりにくいところに生えているロザエネルヴィスです。薄緑色になって、赤色がほとんど見られません。
・ 育成条件によって様々に色合いが変わる草なので、各人の好みに合うように育てればそれで良いのですが、私の好みを言わせていただくと、「中性付近、二酸化炭素の強制添加無し、60センチ水槽に20蛍光管(パルック2灯とPG−2を1灯の計3灯)、貧栄養」で育てた時の“サンセット”の色合いと姿が一番綺麗だと思います。
ちなみに、一番上の画像は、この条件で育てたものです。
01.10.28
※ 上から3番目の画像は、nobuhiroさんにお借りしています。