■GOOD AQUA■

植栽のポイント

 「うまく育たない!」という場合に、見落とされていることが多いのが、“植え方”の問題です。
 「グロッソが直立して困る!」
 「コケがついて汚い!」。
と困っている場合は、以下をチェックしてみてください。

 

1.どのくらいの長さのものを、どのくらいの間隔を空けて植えれば良いか

(ア) グロッソスティグマが、ランナーを伸ばして新芽をある程度張り巡らすには、「早くても3週間」はかかる

(イ) また、グロッソスティグマの葉は、しっかりと生えてから3〜4週間で、茶色くなってかれ始める

 この2つの事実を考え合せてみると、<どのくらいの長さのものを、どのくらいの間隔で植えればよいか>の答えを必然的に得ることができます。

 すなわち、「グロッソが生え揃ったときには、最初の葉は茶色く枯れている」という、重要なことが分かりますよね。

 したがって、「最初に植えるグロッソスティグマは、必要最小限の量にすべき」ということになります。たくさん植えても、グロッソスティグマが生え揃う頃には、最初に植えた葉は枯葉になっているわけですから、あまりたくさん植えていると、緑の絨毯に茶色い斑点がたくさんついているよいうな状態に仕上がってしまうのです。
 そして、枯葉はその茶色が美観を損ねるだけではなく、コケの温床にもなります。特に古いグロッソには房状のコケがつきやすいです。このことからも、最初に植える量は必要最小限にすべきと言えます。

 そして、その「最初に植えるグロッソ」は、できるだけ“新芽”にすべきということも導けます。生長し終わった古い葉は、緑の絨毯が完成するまでその緑色を保っていてくれるわけではないのですから、少なければ少ない方が良いはずです。
 よって、最初に植えるグロッソは、ランナーの先端にある生長途上の2〜8葉ぐらいにすべきです。
 ただし、先端の2葉のみにしてしまうと、植えたときに底床から簡単に抜けてしまいます。そこで、実際は、6〜8葉ぐらいを摘み取り、先の2〜4葉だけが底床の表面に出て残りの葉が底床の中に埋まるように植えるのが良いです。底床の中に埋めた部分が抜け防止のストッパーになってくれます。
 底床に埋まった部分の葉は、急速に分解されるので、コケ発生などの心配はほとんどありません。

 植栽に使うのは、先のこのぐらいだけにするのが良いです。
 そして、先の2〜4葉だけを底床の表面に出して、残りの葉は底床の中に埋め込んでしまいます。
 (この図はnobuhiroさんからいただいたタブレットで描きました。Thanks !)

 

 次の画像は、グロッソを植栽して約3週間が経過した水槽です。
 矢印の先にある枯葉が、植栽したときの葉です。黄ばんで、葉の周りがくずれてきているのが分かると思います。
 植栽時に欲張って、たくさん植えると、このような葉が絨毯の中にたくさん混じってしまい、美観を損ねるだけでなく、コケの温床にもなります。

 

 次に、どのくらいの間隔を空けて植えれば良いか、ですが、私の場合は、下の画像ぐらいの間隔を空けて植えています。

 このぐらいの間隔を空けて植えると、グロッソが生えそろったときに枯葉になっていても、それほど目立ちません。
 もちろん用いているのは、先端の2〜4葉のみです。

 

 もし、先端の葉だけでは植栽に足りない場合は、先端以外の葉も用います。
 ただしこの場合、先端からあまり離れたところの葉を用いると、新芽が出る前に枯れてしまうことがあります。
 したがって、できるだけ先端に近いところの葉を用いることがポイントです。

 先端の葉だけで足りない場合、矢印の部位の葉ぐらいなら問題無く使えます。
 これより古い葉も使うことはできますが、古ければ古いほど、コケの発生源になる危険性が増します。
 矢印部分の葉には、このように根がついているはずです。この部位を植栽する場合は、その根の部分をピンセットでつまんで植え込むようにします。こうすれば、底床から抜けにくくなります。

 

2.植え方

 “植え方”で大切なのは、「まっすぐに植えないこと」です。必ず、「斜めに」植えるようにします。 まっすぐに植えると、グロッソは有茎草なのでまっすぐに伸び上がりやすくなるのです。
 育成の条件が揃っていれば、まっすぐに植えても、途中で横方向へ倒れ込んで伸びていきます。しかし、もちろんその分、グロッソの絨毯が分厚くなってしまいますし、生え揃うまでが綺麗でありません。
 「グロッソが直立して困る」と悩んでいる場合は、植えるときにまっすぐに底床に突き刺してしまっていないかをチェックしてみてください。

 まず、まっすぐに突っ込み、
 次にピンセットを起こして茎を横方向へ引っ張るようにします。

 このように植えることで、草体が斜めに植わり、かつ、底床から抜けにくくなります。
 上述の通り、茎についている一番先の部分さえ、底床から出ていれば十分です。

 

 

3.その他の問題

(1)仕上がり時に水槽の隅の部分が盛り上がってしまう

→ 水槽の隅の部分は、どうしてもグロッソの絨毯が盛り上がりがちになります。
 これは、生長するにしたがって水槽の端に突き当たってしまった先が、そこで方向転換するために、そこでいったん頭を持ち上げるからです。
 これをうまく回避して、水槽の隅まで平坦に仕上げるには、コツがあります。
 そのコツとは、「もとから水槽のガラスに近いところ数センチには植えないこと」です。こうすれば、まっ平らな絨毯になってくれます。

(2)葉に房状のコケがつく

→ 光量が過剰になっているときに出やすい症状です。こういう場合、たいてい葉色が濃く、小さ目の葉になっているはずです。
 このような症状が出た場合は、光量を減らすよりも、CO2の量を多くしたり栄養バランスを良くするなど、他の条件を整える方向で手当てする方がうまくいきます。

→ あるいは、上で述べたように、最初の植栽時に過剰に植えてしまった場合にも、葉に房状のコケがつきます。植栽後に伸びた葉は綺麗に茂っているのに、最初の葉が枯れる時期に来てしまい、その美しい光景の邪魔をしてしまっているのです。
 この場合、問題を回避するには、植栽時に最適な部位を適切な密度で植えること、これだけで大丈夫です。

<特に初心者の方へのアドバイス>

 この稿で取り上げたことがらは、特に初心者の方の失敗によく見られるものです。

 初心者の方は、本に載っているようなグロッソスティグマが一面に茂った水景を作ろうとしたときに、最初からたくさんのグロッソを植えてしまいます。すなわち、グロッソをたくさん植えれば絨毯が早くできると考え、必要以上の量を植え込んでしまうのです。

 しかし、既述のように、それはうまい方法ではありません。
 最初に植えたグロッソは、環境が異なる水槽に移ったことで、それまでの葉をあきらめて新しい環境に合った新しい葉を展開しようとします。そして、古い葉はどんどん枯れていってしまうのです。
 「最初に必要以上の量を植える」ことは、
(1)新芽で緑の絨毯ができ上がったときに、枯葉をまいたようになって美観を損ねる
(2)枯れていく葉がコケの温床になる
(3)新しい葉の展開の邪魔になる
など、決して良い結果につながりません。

 また、目一杯植える、という失敗をしてしまっているのに、それに気付かず、光量やCO2の添加量など育成条件の不都合の検討を始めてしまう方は、意外と多いのが現状です。

 『最初は必要最小限しか植えない』

 まずは、これを心掛けてみてください。その上で、光量や栄養分などの育成条件の検討に入ってみてください。きっとうまく“緑の絨毯”を作れるはずです。

 

 

 

●よくある質問

 

Q: 最初の植栽では必要最小限しか植えなかったが、その必要最小限の葉でさえも、水景完成時に枯葉になって目立ってしまう。どうしたらいいか。

A: たしかに、最初に植えるグロッソを必要最小限にしても、それはそれで枯葉になってしまいます。そこで、対策としてよく用いられるのが、ヤマトヌマエビです。エビが、日々、葉の古くなって傷んだところを順に食べて掃除してくれるのです。
 ただし、私は、水槽内で繁殖させられるミナミヌマエビかビーシュリンプの方がお勧めです。

 

Q: グロッソがすぐに葉に白化の症状を出してしまう。良い対策はないか。

A: グロッソは、生長が速い分、栄養分の消費が多いので、そのような症状が出やすいです。
 対策として私がお勧めするのは、注射器を使って、底床の一番底へ、窒素分も含んだ液肥を注入することです。ただし、予防的に注入するのではなく、そのような症状が出たときに注入するようにしてください。そうしないとコケの増殖の危険性が高まります。

 

Q: 水中葉と水上葉のどちらを購入するのが良いか。

A: グロッソの場合、「植えてから新たに生え始める葉」が底床を覆って水景を形ち作ることになります。すなわち、植えたときの葉は、完成水景の一部にはなりません(完成時にはすでに枯れている)。したがって、できるだけ速やかに新しい環境に適した葉を出してくれるのが望ましいわけです。よって、水上葉よりも水中葉の方が、使いやすいと思います。
 また、購入する場合、パックや袋に入っている全体の量を見て買ってはダメです。よくショップのレイアウト水槽の底床からはがしたものが売られていることがありますが、いくら量が多くても、生長しつくした葉がたくさん入っているものは避けた方が無難です。生長し尽くした大きな葉は、水槽に植えた後でコケの温床になりやすいです。
 購入する場合は、実際に植栽に使う「“新芽”をどれだけ多く摘み取れるか」という基準で選ぶのが賢明だと思います。

 

Q: 60センチ水槽の場合、光量はどれだけ必要か。

A: “育てられる”というレベルであれば、3波長集中発光形(『パルック』など)or高演色形のランプの20W形が2本あれば大丈夫です。
 しかし、これだけだとグロッソが伸び上がるように伸びてしまう場合もあります。
 したがって、“綺麗に育てられる”というレベルで考えるなら、3波長集中発光or高演色のランプの20W形を3本、というのが最低ラインだと思います。4本あれば安全圏でしょう。ただし、光量の問題は、他の多くの条件とも関係しています。たとえば、水温が高めだったり水の透明度が低かったりすれば、それだけ光量が多めに要求されます。よって、これはあくまでも“大雑把な目安”です。実際には「やってみないとわからない」という部分が多々あります

 

 

 

02.01.15
02.05..14再編集



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