■GOOD AQUA■

育成トラブルの症例

1. 窒素分不足の症状

 この数年、なぜか「水槽内では窒素が過剰になる」という情報を頻繁に目にします。
 しかし、水草水槽をしっかり維持されている方はご存知だと思いますが、水草水槽を一括りにしてそう言うことには無理があります。
 水草が順調に育っている水槽では、窒素の不足は、よく発生することです。窒素がふんだんに含まれている底床肥料(たとえば「ADA パワーサンド」など)をセットしたりしていない限り、窒素分が足りなくなる状況は起きて当然のはずです。
 やってみればわかりますが必要な窒素分をすべて魚の餌で補うのはけっこう大変です。その前にリン分などが先に過剰になることがありますし、餌由来の窒素分で補っていても、水草の生長が良くなったら、とたんに窒素分が足りなくなってしまうこともあります。
 ちなみに、魚がメインで水草は申し訳程度に入っているだけの昔の熱帯魚飼育のスタイルでは、「水槽内では窒素とリンが過剰になる」というのが常識でした。

 さて、本題のグロッソスティグマについてですが、もちろん、グロッソスティグマを育てているときも、窒素不足は発生します。繁茂するスピードが速いので、窒素不足は、他の水草を育てているときよりも起き易いと言えるでしょう。

 窒素肥料が不足すると、このように、古い葉よりも新葉の方が黄色くなり、先の方は白っぽくなってきます。

 窒素肥料不足以外の問題によっても、このように新葉が黄化・白化することはありますが、窒素不足の場合は古い葉には問題が無い点、葉の形が綺麗な舌型である点、この2つから判断できます。

 この画像と同様の症状が現われた場合は、底床内に窒素肥料を添加します。ただし、水草が元気でない状態になっているのですから、水中に添加するとその肥料はコケの栄養になってしまいます。必ず底床内に添加してください。

 

2. CO2過多の症状

 次によく起きる問題はCO2の過多です。
 「光とCO2をガンガン与えると良い」と思い込んでいると、この問題が起き易いです。 

 CO2が過多になっているかどうかは、案外簡単に判断できます。本来、舌形になるべき葉が、細長くなっています。
 葉をアップで見て、こんな形になっていたら、明らかに「CO2過多」です。CO2の添加量を減らしましょう。
 こちらは普通に育てた葉です。形が違うのに気付かれると思います。

 

3. CO2過多とそれに伴う窒素分不足の症状

 窒素分の不足とCO2過多の2つの問題が複合的に起きることもあります。

 以下、この症状を説明してみましょう。
 ただし、ここまでの説明で使った画像は、その症状を、水槽内でわざと起こさせて撮影したものですが、さすがに窒素不足とCO2過多の両方を本水槽でやるのはためらわれました。そこで、下のような10センチキューブを別に用意して撮影しています。

 発酵式ボトルからエアチューブ&エアストーンで、この小さい水槽にどんどんCO2を添加してみました。照明は27Wの蛍光灯、底床は「アクアソイルアマゾニア」、最初に底床下に「ハイポネックス原液」を注射してセットしてあります。
 10日ほど経過するとこのような状態になります。
 ご覧のように葉形は細長く伸びています。これは上述した典型的なCO2過多の症状です。
  また同時に、窒素不足から草体全体の色が薄くなっているのも分かると思います。

 このような複合的な症状が現われた場合、窒素肥料の添加をせずにCO2の添加量を減らすだけで症状が改善されます。このことから、この複合的な症状は、まずCO2過多によって葉が細く伸び、そのスピードに窒素の供給が追いつかない、といった2段階の問題構造になっていることがうかがわれます。

 

4. 光量不足の症状

 光量については、過多の問題よりも、どちらかと言えば不足の問題が起き易いでしょう。

 右画像のように伸び上がってしまう場合、原因はほとんどが光量不足です。照明の数を増やすなどして光量を増やさなければなりません。

 ただし、器具で光を強化しても、レイアウトの関係で影になる部分ができてしまいます。そういう影の部分では、グロッソスティグマはどうしても立ち上がり易くなります。特に光の回り込みが少ないメタルハライドランプや水銀灯を使っているときは顕著です。これについては、レイアウトで工夫するしか対策はないでしょう。具体的には、メタルハライドなどの場合、反射光が、下草にも回るように気をつけてレイアウトします(ただし、こうするとメタハラ特有のせっかくの強い陰影の差が小さくなってしまいますが・・・)。 

 この画像は、水槽の前面左隅をアップにしたところです。このように、水槽の端の方では、光が十分に届かずに立ち上がり気味になってしまいます。
 レイアウトの中の水草が密集した部分へ入り込むと、やがてこのように伸び上がってくることが多いです。これも光を求めての現象です。
 こういう姿を見ると、「ほんま、こいつは有茎草なんやなぁ。」と再認識させられます。

 

 

5. CO2不足の症状

 CO2が不足しているときは、次のような症状が見られます。

 栄養と光の量は十分なので、葉色は濃いです。
 しかし、生長が遅いために、葉の表面にうっすらとコケが付着します(このコケはガラス面によくつくものと同じ種類のコケです)。
 また、1枚1枚の葉の大きさは、生育の良い時の1/3程度しかありません。

 

 

02.01.15
02.05.14「CO2不足の症例」を追記



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