■GOOD AQUA■

Cyperus helferi

シペルス ヘルフェリ (キペルス)

 

<特徴>

 学名をそのまま読めば「キペルス」ですが、一般には「シペルス」や「キプルス」と呼ばれることが多いと思います。
 日本では、90年代に入ってから流通するようになった、わりと新しい水草です。

 葉の断面を見ると、「W」の字のように真ん中に折れ目のような凹みがあり、この構造があるために葉は2つ折りにはなりにくいです。手で曲げても「ぐにゃり」とは曲がりません。「ぐぐ〜」としなり、それでも力を入れ続けると「パキッ」と折れます。

 

<用途>

 後景に配置する水草として、最も扱い易い水草ではないでしょうか。バリスネリアの仲間と形状が似ているので、レイアウトの中での使い方はほぼ同じですが、バリスネリアの仲間はレイアウトの中のあちこちにランナーを伸ばすのに対し、このシペルスは、そのようなことが少なく、レイアウトを崩しにくい「お利口な」水草だと言えます。
 また、葉の色が、バリスネリアの仲間が濃い色になりがちなのに対して、シペルスは光量が多くても少なくても綺麗な緑色を保ってくれます。それゆえ、どうしても暗くなりがちな後景にこの草を用いると、水景全体が明るく感じられます。
 加えて、バリスネリアの仲間ほど、切り口が茶色くならず、見た目が綺麗です。

 ということで、後景に配置するテープ状の水草を選ぶなら、このシペルスはお勧めです。
 ただし、たくさん植えるには、ちょっと高価なところが難点と言えば難点かもしれません。

 

<育成>

 育成のポイントは、pHです。中性から弱アルカリでもちゃんと育つのですが、そのような水質の場合は、他の条件=光量・CO2量が良いかどうかで生長に大きな差が出ます。
 逆に、弱酸性から中性の場合、光量は適当で大丈夫です。CO2の強制添加もあえてする必要はないです。例えば、pHを6.5にすることができれば、上部濾過器の下の暗いところに植えて蛍光灯は2灯だけ&CO2の強制添加無し、というような環境であっても綺麗に育ってくれます。

 殖やすためには、底床内への施肥と中〜高光量が必須となります。これは、逆に言えば、レイアウトを乱すので殖えて欲しくない、というようなときには、簡単にコントロールできるということでもあります。

 この水草の水槽内での殖え方には、“ランナー” “シューター” “株分かれ” の3つの形態があります。どの殖え方をするかは、環境に従います。
 周りに他の草がなくスペースに余裕があるときによく採られるのが、“ランナー”です。バリスネリアの仲間のように、ランナーを伸ばしてその先・中間に子株を作ります。

 後景に間隔をつめて植えたときなどによく見られるのが、“シューター”です。ランナーを斜め上に伸ばしたような、中途半端なかたちになることが多いです。

(注) この絵につき、「幼稚園児の絵か?」「やせたイソギンチャクとちゃうのんか?」といったクレームは一切受けつけておりません。念のため。

 “株分かれ”のパターンは、親株が十分に栄養と光を吸収している場合に多く見られます。
 下の画像では、左の方に子株ができています。

 いずれの場合も、殖えた部分は乱暴に切り離してしまって問題ありません。少々根が切れてしまっても、また元気になる丈夫な水草です。

02.01.23



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