■GOOD AQUA■

Bacopa caroliniana

ウォーター バコパ (バコパ カロリニアーナ)

 

<特徴>

 光に向かって直線的に伸び上がる性質をもつ水草です。頂葉を切り取ったりつぶしたりして先端の生長を阻害しない限り、ほとんど脇芽を出しません。また脇根もほぼ出さない水草です。
 色彩については、栄養バランス、光量、光質などの条件によって様々に変化します。一般的には濃い緑色から淡い緑色をしていますが、例えば光量を急激に増加させると、頂葉の葉脈が赤くなり全体も赤っぽく見えるようになります。
 徐々に光量が減る環境に対しては順応性を見せますが、基本的に光量を多く要求する水草です。光があたらない下部の葉は、光があたらなくなると茶色くなって溶け落ちてしまいます。
 また、葉脈の色が白く抜ける場合があり、その傾向の強い個体同士を掛け合わせて作出されたものが「イエローバコパ」だと言われています。

 

<用途>

 「脇芽も脇根も出しにくく直線的に伸びる」という特徴をもつことから、レイアウトの中ではこの特徴を活かした用い方をされることが多いです。レイアウトの中で「縦向き」のイメージを強調したいと思ったときに、この水草が便利なのです。
 よく目にするのは、1区画をすべてこの草で埋めるヨーロッパの花壇風のレイアウトです。人によっては「ダッチ」と呼ぶこのレイアウトの中では、茎の長さを数段階に分け、これらを段段畑のように植え込む手法が好まれます。このように植えることによってでき上がる群生は、レイアウトの中に「縦向き」のイメージを作り出すと同時に、レイアウト全体の中に「流れ」を演出してくれます。
 このような用い方をしても、脇芽も脇根も出しにくいため、草が区画からはみ出てきてレイアウトが乱れるようなこともほとんどありません。
 生長して長く伸びた場合は、一旦、草を根元から抜きとって、茎の下部を切り落とし、頭が揃うように再び植え直します(=摘み下ろし)。この作業は少々面倒ではありますが、定期的に要求されます。

 逆に、このような特徴があるために「ネイチャーアクアリウム」スタイルのレイアウトでは使いづらい水草です。「ネイチャーアクアリウム」スタイルでは、先端の切り落としを繰り返して、こんもりとした姿を作り上げるトリミング方法が主となります。しかし、この水草にはそのようなトリミング方法がしにくいのです。脇芽を出しにくいため、頭をちょん切っても、なかなかこんもりとはなってくれません。芽がやっと何本か出たときには、もう茎の下部の葉が枯れて落ちてしまっていたりします。
 また、「ネイチャーアクアリウム」スタイルだと、底床の下に「パワーサンド」や種類の違う底床材が組み合わされて敷かれることが多いです。そのような底床を使っていると、摘み下ろすために一旦水草を抜き取るということもできません。水草を抜き取ると、根にひきずられて下の底床材が表面に出てきてしまい、見た目にも悪くなるからです。

ウォーターバコパをレイアウトに使った例。
左端のアマニアグラキリスの右隣に生えているのがウォーターバコパです。
茎の長い個体の前には必ず茎の短い個体を植えておきます。茎の長い個体
では、光のあたっていない下葉が茶色くなり易いので、これを隠すためです。
そのような観点からも、この水草を段段畑のように植えることは合理的と言え
ます。

 

<育成>

 弱酸性〜弱アルカリ性の幅広い水質に適応します。水温は、日中に15度くらいあれば、夜間はもっと下がるような場合であっても大丈夫です。また高温にも強いので、ディスカス水槽にも使えます。
 ただし!このウォーターバコパの育成で一番大切なのは、「光」です。弱アルカリ性の水や低温・高温で大丈夫と言っても、光が弱い条件下では難しいです。「光量が少ないかな?」、と思うときは、弱酸性・軟水・26度前後・CO2の添加必須、と考えた方が安全です。特に、水上葉を買って来たときには、条件を良くして優しく接してあげましょう。いじめると溶けます。下手をすると、茎の途中から黒く腐って上半分がプカ〜と浮かんできます。

 底床の種類はあまりに気にしなくても、たいていのもので育成することが可能です。
 底床内の肥料不足は、頂葉の色が白っぽく抜けてくるので、それですぐに判断できます。白くなってきたら、底床内にすみやかに追肥します。そのまま放っておくと、下葉がどんどん溶け落ちてしまいます。相性の良いのは「イニシャルスティック」です。ソイルに植えるときは他の肥料でも構わないです。

 CO2の強制添加は、強光量・軟水・弱酸性という条件下では特に必要ありません。しかし、もちろん有った方が生長が良いです。この場合、頻繁なトリミングに追われる、という別の悩みが発生する可能性も高いですが・・・。

 この水草を大磯砂などの底床で使うときに困るのが、「すぐに抜けて浮いてくる」という問題です。ピンセットで植える分にはそんなに苦労しないですが、指で植えていると、もう、ほんとにすぐに抜けてきます(←ピンセット使え!って。)。
 こんなときの解決方法ですが。底床に植えるときに、下葉を全部取ってしまわず、何枚か残しておくのです。こうして植えると、葉が底床に引っかかってなかなか抜けなくなります。それでも抜けてしまう時は、面倒でも、下葉を1枚1枚基部側の半分を残してあとの半分をハサミで切って落とします。葉の縦半分ではなく、葉を横半分にちょん切るということです。こうやって植えれば茎に残った葉の半分が底床にひっかかって、ストッパーになってくれます。

01.08.28

 ※ 一番上の画像は、バードさんにお借りしたものです。



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