■GOOD AQUA■

Ammania gracilis

アマニア グラキリス

 

<特徴>

 たいへん装飾的な姿と色彩の水草で、水槽の中でひときわ目をひきます。
 gracilis(=きゃしゃな、繊細な)という名をもってはいますが、葉の大きさ、茎の太さ、派手な色合い、直線的な生長の仕方などから、明らかに「大がら」というイメージの草です。
 まとめて植えても綺麗ですが、1本でも十分に観賞に耐えうるので、1本だけを水槽の中央付近に植えて、「レイアウトの主役」として用いることも可能な水草です。

 

<用途>

 大きく生長するので、60センチ以下の水槽に用いるのは難しいです。見るからに窮屈そうになります。90センチの水槽でも、高さが足りないことがあります。
 水槽が小さいと、頻繁にトリミングをしなければなりません。しかし、トリミングをすると頂葉が縮れることがしばしばあり、小さな水槽では頻繁なトリミングのために綺麗に伸び始めた葉を観賞できる期間が短くなってしまいます。
 したがって、この草の美しさを味わうには、十分に深さのある水槽が必要です。 大型水槽の後景に用いると、この草の特徴を最も活かせるでしょう。
 大きな水槽なら、多数本を段差がつくように配置しても綺麗です。

 また、この水草は炭酸硬度(KH)の変化に敏感で、変化があるとすぐに葉の生長に現れます。
 したがって、オランダプラントなどと同じように、アピスト水槽やディスカス水槽の水質(硬度)の監視に使うことができます。これらを植えておけば、いちいち測定薬や測定器で測らなくても、一目で変化がわかり、たいへん便利です。

 

<育成>

 弱酸性〜弱アルカリ性の幅広い水質に適応します。
 水温もあまり気にしなくて大丈夫です。

 この水草の育成のツボは、炭酸硬度(KH)です。これが少しでも変化すると、葉に縮れが出たり、頂葉がつぶれて生長が滞ったりします。
 したがって、美しく育てたいなら、KHを変化させるようなことは極力避けなければなりません。具体的には、多目に換水をしたり、一時的にエアレーションをかけたり、CO2の添加量を変えたり、カルシウム分を含むものを水槽に入れたり、または、底床掃除をしたり、あるいはフィルターの大掃除したりすることなどでKHが変化します。但し、規則正しく繰り返されているものなら、微小な変化しか現れないこともあります。

 葉が縮れた場合、そのままにしておくと頂葉に近い葉から脇芽を複数出して再び生長を始めます。但し、全体としてはあまり綺麗な姿になりません。やはりこの草は、水面に向かってすっくと立っている姿が美しいです。
 しかし、この性質を利用すれば短期間に本数を増やすことができます。すなわち、水面近くまで生長したら、頭の部分を爪でちぎってしまうのです。こうすると、すぐに脇芽が複数でてくるので、この脇芽を茎から切り落とし、底床に植えて増やしていくのです。ただし、本体の茎がまだ短いうちにこれをやると、本体そのものが枯れてしまうことがあるので要注意です(茎が腐ってくる)。

 また、真上から頂葉を観察すると、葉が、潜水艦のスクリューのように右か左の一方方向に緩やかに曲がりながら生長していることがあります(「ノ」の字の葉が輪生しているような状態です)。これは、カルシウム分が極端に少な過ぎて水槽の緩衝能力が落ちているときや、換水などで定期的にストレスを与えているときに発生し易いです。発生したら、警告信号です。

 お勧めの底床はセラミックや大磯砂です。すなわち、弱酸性〜中性付近を維持できるものです。ソイルの場合、ソイルの種類によって茎が細くなったり太くなったり、わりと大きな差がでます。

 また、大磯砂の場合、使い込んで古くなったものだと、かえって生長が悪くなることがあります。そのような場合は、120センチ水槽なら木化石を2つぐらい入れてやります。そうすると過剰にならない適度な量のカルシウムが、継続的且つ緩やかに溶け出し、生長に好影響を与えることがあります。このコツは、茎が原因不明で細くなる症状が出たときにも有効です
 但し、硬水が好きなわけではないので(弱硬水でも育ちますが)、カルシウム分を加えるにしても、あくまでも弱軟水の範囲内でおさまるように注意を払わなければいけません。

 CO2の強制添加は、行なった方が断然良い結果を生みます。

 相性の良い肥料は、底床の種類にもよりますが、「アクアフローラ」です。

01.08.28



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