■GOOD AQUA■


はじめに

 

 この「貝の壷」のコーナーでは、水草水槽の中の生態系で重要な役割を担っている「貝」について取り上げています。

 

 ご存知のように、一昔前は貝殻や珊瑚のカケラの混じった砂利が底床としてよく用いられていました。そういった水槽では、水にカルシウムが多く溶け込んでいて水質が弱アルカリ性になるのがふつうです。そのためいったん水槽に貝(スネール)が入り込むと、貝はうじゃうじゃうじゃ〜と殖え続けてしまいます。またそのような水槽では、その水質と水草育成技術の未発達のために水草が弱っていることがよくありました。したがって殖えた貝が弱った葉を片っ端から齧ってしまうことも珍しいことではありませんでした。

 しかし今は時代が変わりました。飼育環境も水質も劇的に変化しました。水草水槽は弱酸性でカルシウム分が少ない水質で維持されるのが主流になりました。このような弱酸性の水槽でスネールが大繁殖することはまずありません。貝自体がそれほど大きくなりませんし、数もある程度のところで頭打ちになります。水景の鑑賞の邪魔になるほど殖えたりはしません。
 もちろん、水質のコントロールがうまくできない場合だったり、中性から弱アルカリ性を好む生体を飼育している水槽だったりした場合は話しが別です。やはり貝の爆発的な増殖の危険があります。しかしそうでなければ、貝の爆発的な増殖を心配する必要はありません。

 また貝には、水を浄化したり浮遊物を凝集したりといった水草水槽にとって非常に有用な側面があります。水生生物が共同して生態系を作り上げる調和的水草水槽においては、体の小さな貝が大きな役割を担い、水の白濁やコケの過剰な増殖を抑制していたりします。
 そのような有用性があるにもかかわらず、一昔前の「スネール悪者論」にいつまでも固執し何が何でもスネールを水槽に持ち込まないように神経をすり減らす風潮に対しては、私は「どうか」と思っています。もっと現実に則した考え方に軌道修正すべきではないでしょうか。

 ・・・というわけで、このコーナーでは、貝(スネール)の水草水槽における有用性と、調和の一翼を担うにふさわしい貝の紹介とを行っていこうと思っています。一昔前の「スネール悪者論」にいつまでも振り回されるのではなく、実際の水槽を、実際によく見て、そして貝(スネール)の実際の生態とはたらきとを見直すきっかけになってくれれば、と思っています。

03.12.29 
 



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