■GOOD AQUA■

収容可能な魚の匹数
  


01.02.19

 
1.魚の大きさと水槽の大きさ

 たとえば、「60センチ水槽には、何匹ぐらいの魚が飼えるか」という疑問は、これから水槽をセットしようと思っている者にとってはとても切実な問題ですが、ショップやメーカーなどの答える側にとっては、最も答えにくい質問であったりします。

 答えにくい理由は、「一概には言えない」からです。確定されていない要素がたくさん含まれているからです。たとえば、

(1)濾過の能力が高いか低いか
(2)水草(浄化するもの)が多いか少ないか
(3)換水をマメにする予定があるかどうか
(4)餌をたくさん食べる育ち盛りの魚かどうか
(5)水を汚し易い肉食魚かどうか
(6)生き物の活性が上がる高温で飼育するのかどうか
(7)水が汚れ易い餌を使うかどうか
(8)生体の量に見合った酸素が供給できるかどうか
(9)集団で飼っても問題の無い魚種かどうか
(10)どのくらいの大きさの魚か、など

前提として限定されてないと答えられない要素をいくつも挙げることができます。

 この中で目安となるのに分かりやすいのは(10)番だと思います。初心者向けの解説書などにも、よく「1L=1cm」を目安にするように書かれています。1cmのカーディナルテトラなら60cm水槽(約65L)に65匹、3cmなら22匹を飼える、ということなります。
 私もこの目安には大賛成で、初心者の質問に「そんなん色々や。」と、何の役にも立たないアドバイスするより、ずっと有益で、且つ、適切だと思います。 
 ただし、注意しなければならないのは、この目安が「初心者はふつうは小型テトラやグッピーから飼い始める」という考えを前提にしている点です。初心者がいきなり大型カラシンや肉食魚から飼い始めることは少ないでから妥当な点だと思います。

 しかし、この目安をそのまま色んなところに当てはめると、「60センチ水槽(約65L)だと60センチのアロワナも1匹は飼える」というおかしな結論になってしまいます。

 そこで、私が提案したいのは、第二の目安として「魚の体重」を用いることです。

 60センチ水槽(約65L)に、初心者でも、2cmのカーディナルテトラを33匹〜40匹は飼える、というのは、妥当な線だと、みなさんも思われるところでしょう。2cmのカーディナルテトラなら、1匹がだいたい0.3gなので、この60センチ水槽に収容できる魚の総重量は、9.9g〜12gという結論になります。換算すると、1Lあたり、0.152g〜0.185gとなります。
 たとえば、この目安をそのまま当てはめると、80グラムある大きな魚なら80÷0.152=526(リットル)の水量の水槽が必要ということになります。これは、180センチ水槽(180×60×60=577リットル)に1匹、ということです。この結論はあまり現実的ではありませんが、まだ水槽の濾過などが活性化していない初心者の水槽なら、仕方がない結論かもしれません。

 そこで今度は、上級者を基準にして検討してみましょう。一通り飼育の基本を身につけた方なら、60センチ水槽に2cmサイズの小型テトラ40匹だけしか飼えないというようなことは思います。その頃にはカーディナルテトラも3cmを超え、魚の数も、レインボーフィッシュ、ラスボラやコリドラスなどを含めて100〜200匹入っていたりしますし、実際にはそれほど入れていなくても、水槽の能力としては、それぐらいの魚の量を十分収容できる状態になっていると思います。すべての魚をショップで売られている2cmサイズのカーディナルテトラに換算してみると、250匹ぐらい収容能力はあると思われます。とすると、上級者の60センチ水槽では0.3×250=75gぐらいの魚は飼えるはずです。75g÷65Lで、1Lあたり1.154gとなります。
 これを、80gの魚にあてはめると、80÷1.154で、約69リットル、すなわち、60センチ水槽ならぎりぎり1匹飼えるという結論になります。どうでしょう?妥当な線ではないでしょうか。

 注意しなければならないのは、この第二の目安も第一の目安と同じく、水槽で維持できる魚の量を決める様々な要素の一面しか捉えていません。そのため、これ以外の要素によって収容できる数に大きく変動する可能性がある点です。
 また、窒素化合物の蓄積という点に着目して魚の収容数を考える場合は、このような水量ではなく、水草の植栽面積を基準に考える方が妥当な結論を導き易くなります。

2.魚の体重の計量

 さて、このように「魚の体重」は、飼育の上でとても役に立つ情報だと私は思うのですが、どの魚がどのぐらいの重さかという具体的な情報がほとんど流通していません。したがって、これを知るには自分で推測するか実際に計測するかしかありません。

 推測する場合一つ言えることは、魚の体重はみなが想像しているよりもだいぶん軽い、ということです。手に持った場合、魚が暴れたりそれで表皮を傷つけたりするのが嫌だったりして、重さを感じるぐらいしっかり握るようなことはほとんどしないと思います。したがって、実際に自分でその重さを実感する機会もほとんどないと思います。そこで、できれば、実際に秤を使って測定することをお勧めします。おそらく、思っていたよりもずっと軽くて驚かれることと思います。魚は浮力を調整するための浮き袋など、中空の部分が多いせいかもしれません。

 実際に測定する場合は、まさか、暴れる魚を秤に押さえつけるわかにはいきませんよね。そこで、ちょっとしたコツがあります。
 小型のテトラのように極端にサイズが小さい場合、精密な測定装置が無いふつうの家庭の場合、同じ大きさの魚を何匹かまとめて量り、その重さをその匹数で割るようにすると良いでしょう。読み取りの誤差が少なくなります。例えば、ネオンテトラなら、まず容器に少量の水を入れ容器ごと重さを量ります。次にネオンテトラ20匹をその容器に入れ、容器ごと重さを量ります。すると、その重さの差が魚全体の量ですから、20で割れば1匹あたりのだいたいの重さがわかります。
 大き目の魚ならプラケースなどに入れてこれを調理用の秤に載せて量り、水&容器の差をみればすぐにわかりますが、小型の魚だと、軽すぎて調理用の秤ではうまく量れません。そのようなときに使えるのが、封筒の重さを量るためのレタースケール(ポストスケール)です。簡単なしくみのものですが、その用途の性質上けっこう精密で、数百円以下で買えます。これはお勧めです。

 できれば、ここで具体的な魚の重さに関する情報を交換したいので、もしご自分の魚の重さを実際に量られたら、その数値だけを簡単にお知らせいただければありがたいです。ここに情報を集中させ、みなさんのお役に立つように公開させていただきます。

<参考値>

・カーディナルテトラ、ネオンテトラなど → 0.3〜0.7グラム
・ディスカス               → 成魚=約150グラム,若魚=約70グラム,7〜8cm=約25グラム (情報提供:いちなまさん)
・コリドラスMサイズ           → 2.4グラム  (情報提供:いちなまさん)

  ヨメはんが使っている調理用の秤。買い物に出かけたときを見計らって使います。使った後は、すみやかに綺麗にして、何も無かったかのように元の場所に戻しておきましょう。

  レタースケールで軽いプラスチックの容器(使い捨てのプラスチックコップならなお軽い)をぶら下げているところ。この容器にごく少量の水と小型の魚を何匹か入れて量ります。

 


01.02.27(ネオンテトラの量り方修正Thanks; たぬきもさん) 01.05.02(魚の重さThanks いちなまさん)


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