水槽のフタについて考察する 00.12.13 01.04.16(加工方法について削除)



 最近は、水槽にフタをしないで上部を開放にしたタイプの水草水槽が流行っています。そのせいか、水槽のフタについて詳しく書かれた記事をみることがあまりありません。
 しかし、卵生メダカ、ラスボラ、ハチェットなんかを飼いたいと思っている人にとっては、水槽のフタは必需品のはずです。
 また、蛍光灯を載せている人にとっては、フタは必須のアイテムです。フタを閉めていないと、蛍光灯に結露が発生して、蛍光灯を錆びつかせるだけでなく、漏電の危険性もあります。特に気温の下がる冬場には、朝、蛍光灯を裏返してみると、蛍光管のあたりにたくさんの水滴がついているはずです。

 そこで今回は、この「水槽のフタ」について材質の面から掘り下げてみたいと思います。

 

 現在、水槽のフタとして一般に使われているものを、材質の面から分類すると、

1.塩化ビニール

2.プラスチック

3.アクリル

4.ガラス

5.網

の5つが主なところでしょう。

 

 そこで、次に、この5つの材質で作られたフタの長所・短所を表で比較し、続いて解説を加えていきましょう。

※ 5=評価高い ⇔ 1=評価低い

   塩ビ  プラスチック アクリル  ガラス 
加工のし易さ
耐久性(傷)
透明度
価格
耐熱 1
         


塩化ビニール製

 ショップに置かれていることは少ないので、入手は専らホームセンターで、ということになります。
 ハサミで切れるほど柔らかく、加工性に優れてはいますが、逆に、傷が付きやすいという短所があります。また、柔らかいため、60センチ水槽に合わせた大きさのものであっても、大きくたわみます(要するに「ぐにゃんぐにゃん」です)。このたわみを避けるために厚いものを探しても、なかなか手に入らないです。
 透明度も高くなく、使っているうちに傷によってさらに濁ってきます。
 総合的に考えて、あまり水草水槽のフタとしてお勧めできるものではありません。パンチ穴をたくさん空けるなど、相当の加工が必要なときのみ使用することになると思います。

 

プラスチック製

 ショップでは、ガラスに次いでポピュラーな素材です。
 加工がし易く、鋸や金バサミなどで簡単に切れます。そのため、水槽内にパイプや電線がたくさん引き込まれているような場合に、そのパイプなどの部分をうまくくりぬけ、ピタッと閉まるフタを作り易い素材です。また価格も適当なところです。
 短所は、熱に弱いところと、キズがつき易いところです。蛍光灯のすぐ下にくるような使い方だと、四隅が反り上がってしまいます。また、キズがつき易いので、時間の経過とともに透明度が下がってしまいます。
 加工のし易さは捨てがたので、消耗品の感覚で、短期間で交換するような使い方には向いていると思います。

 

アクリル製

 アクリル水槽に力を入れているショップ以外にはあまり置かれていません。したがって専らホームセンターで購入することになります。
 プラスチックよりもキズには強い反面、プラスチックよりも加工が難しくなります。専用の加工道具が売られています。
 ただ、アクリル製の板も、やはり四隅が反り上がります。水面側の面は水分を吸収して膨張し、上側の面は蛍光灯などで暖められて柔らかくなります。そのために四隅が上に反り返って、魚などが飛び出すのに十分な隙間ができていまいます。
 この反り上がりを防ぐには、厚いアクリル板を購入すればよいのですが、価格もそれだけ高くなります。あるいは、細い四角柱のアクリル棒を貼りつける、という方法もあります。
 自分で加工する場合、ガラスと同じく、曲線で切るのは難しいので、フィルターのパイプに当たる部分などは、隅を三角に直線で切り落とすか、慎重に糸鋸で曲線を切るかのどちらかになります。

 

ガラス製

 最もポピュラーなフタが、このガラス製の板でしょう。各メーカーとも自社の水槽に合ったガラス蓋を提供していて、ショップにも普通に揃っているはずです。 
 割ったりしない限り、耐久性も問題無く、値段も手頃です。
 1番の短所は、なんと言っても加工が難しい点でしょう。ガラス切りで実際に加工した経験がある方ならおわかりでしょうが、作業に慣れていないと、プロのようにスパッときれいな直線で切れて(割れて)くれません。また、曲線でくりぬくことも、事実上不可能なので、プラスチック板のように、水槽上面を隙間無くふさげるフタは作れません。
 また、水槽の設備を変更して、パイプや電線が余分に水槽に引き込まれたときに、今まで使っていたフタが、ひっかかるので使えない、なんてこともよくあります。

(追記; 書き忘れがありました)
 ADAのウィルドグラス専用ガラスブタは、半強化ガラスなので、カットするのはまず無理です。
(この製品、以前は強化ガラスだったのに、いつのまにか「半」強化ガラスに変わってますねぇ。なんで??)

 

 夏の水温が上がる時期は、エアコンやクーラーで水槽全体を冷やしていない限り、フタを外して熱気を逃がさないといけなくなります。しかし、飛び出しの危険がある魚などを飼っていると、そういうわけにもいきませんよね。そこで、網戸用の網でフタを作ることもあります。
 市販のものとしては、爬虫類用に販売されているもので、網のものと、穴のたくさんあいた塩ビ板(パンチングボード)があります。

 

(忘れていたので追加です)
食品包装用ラップフィルム

 要するに「サランラップ」や「クレラップ」のことです。
 小さい水草水槽や、卵生メダカを入れているプラケース、病気で隔離中の魚の容器、稚魚育成中の容器など、小型の容器で、且つ、その上に蛍光灯を直接置かない場合には、このラップフィルムが便利です。下手にガラスブタなどを載せると、容器が小さいこともあって、その隙間からすぐに魚が飛び出してしまいますが、これなら安全です。
 また、すぐに汚れて透明度が下がってしまいますが、どんどん取り換えられるので大丈夫です。
 上部を覆うようにかぶせたら、真ん中あたりに、カッターナイフで小さく十文字に切り口を入れておきます。そうすれば、ここから餌をやれます。大きな穴を空けてしまって魚が飛び出すようなことも防げます。

 

 

 

その他の雑知識

・ オールガラス水槽を買う場合、そのままでは上にガラスブタを載せることができないものが多いので、専用のフックが必要となります。専用フックは水槽に付属していることが多いですが、オールガラス水槽を購入するときには、必ずこのフックを確認しましょう!

・ また、このオールガラス水槽にガラスフタなどを置いた場合、次のような問題が発生することがあります。買う前に要チェックです。
 (1) ちょっとしたはずみで、すぐにフタが水槽内にドボンと落ちてしまう
 (2) 前面が膨らんだ形の水槽では、この膨らみの曲線にピッタリ合ったガラスブタが販売されていないので、フタをしても隙間が広くあいてしまう。

・ フタの汚れは、びっくりするほど光量の減衰につながります。フタをキレイに保つと、光が無駄なく水草に注がれます。冬場は、夜、ガラスの水面側に結露が発生し、それが昼間、蛍光灯の熱で蒸発する、ということが毎日繰り返されています。特に気をつけてマメに掃除しましょう。

・ フタは、できるだけ水と手で洗って掃除しましょう。
 布で拭いたり、固いものでこすると、特にプラスチックやアクリルなどの柔らかい材質のものは、細かいキズがたっくさん入ります。繰り返すと、1年経つ頃には、すりガラスのように曇ってしまい、光の透過率が著しく低下してしまいます。

・ 白いかたい汚れは、カルシウムなどが固まったものです。ティッシュペーパーを食酢に浸し、これをその汚れの部分に貼りつけて、しばらく置いておきます。そうすると溶けてくるので、あとは水で流します。間違ってもカミソリなどで削ったりしないこと。



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