濾過器(フィルター)・・・総論 00.12.05


 

 一般に、水草水槽にはCO2(=二酸化炭素)を逃しにくいフィルターがよい、と言われています。具体的には、空気がぶくぶくとなって水が空気に多くふれるしくみのものや、水面の水がよく流れるしくみのもの(またはそのように設置するもの)は、水草水槽には不向きということになります。

 ただし、「そのような濾過器は使えない」というのは間違いです。水を空気に触れさせることでCO2が逃げるのは、水中に一定量以上溶けている分だけで、逆に水中にCO2が少ないときは空気中のCO2が水の方に溶け込むので、空気をぶくぶくさせるような濾過器でも、CO2の強制添加を行わない場合などでは問題はありません。かえって育成にプラスになります。
 実際、昔からエアポンプでぶくぶくやっている水槽で育成難種を育てている方はたくさんいます。月刊誌で、そんな方を紹介してたりするので、ご覧になったこともあるかと思います。

 

では、以下、濾過器の種類ごとに長所と短所を挙げてみたいと思います。参考にして下さい。



外部式密閉フィルター(「エーハイム」や「プライムパワー」)
長所; 濾過能力が高い、添加しているCO2が一番逃げにくい、二番目に静か(水槽キャビネットの中に閉じ込めれば一番静か)、交換部品や追加部品が豊富、上からの光を遮らない
短所; 高価・掃除や濾材の調整が面倒・置き場所に困る・外気温に左右され易い

オーバーフロー式(普通は特別注文)
長所; 濾過能力(=濾材)や水質の調整が容易にできる、CO2の放散を抑える工夫も可能、消音のための工夫など自在度が高い、上からの光を遮らない
短所; 置き場所を一番とる、音が大きい、CO2の放散が大きいものもある、温度管理が面倒、高価


水中投入式パワーフィルター(「エーハイム」など)
長所; 設置と取り外しが簡単、比較的音が小さい、見た目よりも濾過能力は大きい、添加しているCO2を逃さない、上からの光を遮らない
短所; 濾材を入れるスペースが小さい、夏場にモーターの熱で水温が上がる、あまりショップに種類が揃っていない



外掛け式(「テトラ ワンタッチフィルター」や「パル」など)
長所; 設置と取り外しが簡単、濾材の交換が簡単、濾材の改善が可能、安価、音の大きさは普通、流量調整ができる、本体を丸洗いできる、上からの光を遮らない
短所; 大型のものがない、添加したCO2は少し逃げる、濾材用スペースが小さい、小型アクリル水槽だと重みで水槽面がたわむ



上部式(水槽セットを買うとついていることが多い)
長所; 安価、濾材用スペースが大きい、改良が簡単、手入れが簡単、交換部品が豊富、一番静か、O2を添加していない水槽では空気中のCO2を溶かし込んでくれる
短所; CO2を添加していると若干CO2を逃がし易い、冬場は熱を逃がし易い、上からの光を遮る(=上部の3分の1の面積を占めるので蛍光灯の置き場所も少なくなる)



エアポンプと、投げ込み式(「水作エイト」や「ロカボーイ」など)との組み合わせ
長所; 設置と取り外しが簡単、安価、CO2を添加していない水槽では空気中のCO2を溶かし込んでくれる、長期間設置したものは濾過能力が結構ある、上からの光を遮らない
短所; 添加しているCO2を逃がし易い、外気温を水槽に影響させ易い、音が大きい



エアポンプと、底面濾過との組み合わせ
長所; 濾過能力が高い、比較的安価、O2を添加していない水槽では空気中のCO2を溶かし込んでくれる、エアレーションで好気性バクテリアが増える、上からの光を遮らない
短所; 底面の掃除が大変面倒、添加しているCO2を逃がし易い、外気温を水槽に影響させ易い、音が大きい



エアポンプと、スポンジフィルター(「テトラ ブリラント フィルター」など)との組み合わせ
長所; 濾過能力が高い、手入れが簡単である、設置と取り外しが簡単である、上からの光を遮らない
短所; 添加しているCO2を逃がし易い、外気温を水槽に影響させ易い、音が大きい、寿命が短い

 


 お勧めは・・

→ 失敗無くスタートさせるなら、外部式密閉フィルターか、オーバーフロー方式か、内部式パワーフィルター

→ 技術を磨きたいorお金が無いのなら、上部式か、エアポンプとの組み合わせ式です。

 


うちにあるフィルター達。今現在稼動中のものは、もって来れないので、休暇中のものですぐ出せるものを集めてみました(一番奥のフルーバル303は稼動中)。

真中で横向きに倒れているのは、水作社の「スペースパワー」。
水中投入式のパワーパワーフィルターで、上から見ると三角形。水槽のコーナーにピッタリ設置できる。
非常に濾過能力があり、ディスカスの成魚2匹を、60センチ水槽に入れても、これだけで濾過が足りてしまう優れもの。
ただ、小さい魚を入れていると、どうしても後ろに挟まる奴が出てくるのが難点。
それが原因かどうかわからないが、最近は売られているのを見かけない。
ぜひまたショップで扱ってほしい一品。


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