■GOOD AQUA■
 

卓上アクアリウムのセッティング     01.10.02
  


 
1. ここで言う「卓上アクアリウム」とは、

(1) 机の上に置けるぐらいの水槽を用い、

(2) シンプルなセッティング(濾過器やエアーポンプは使わない)で、

(3) 色々な生体による自然なバランスを重視する水槽である(この意味でバランスト アクアリウムに近い)。

(4) 但し、生体の産地や補助器具についてあまり厳格に考えず、あくまでも「見て楽しむ」ことを主目的にする水槽、

のことです。

 ・ 書斎の机に置いても無音なのでじゃまにならない
 ・ 近くのちょっとしたスペースに置いていつでも目を休めることができる
 ・ 器具の補助がほとんどないので自然な生態が観察できる

などなど、様々な長所があります。

 

2. セッティングの実際

 では早速、この「卓上アクアリウム」をセットしてみましょう。

1.今回、撮影に使ったのは、うちで卓上アクアリウム用に使っている容器の中では最大の、テトラ社製30×20×20センチのガラス水槽です。容積は12リットル、ちょうどバケツ1杯分ぐらいですね。
あまり大きいと「卓上」に置けません。
2.次に肥料を用意します。
(1)他の水槽に使っている濾過材のしぼり汁100cc
  (バクテリアやミジンコなどの移殖のため)
(2)「ハイポネックス 活力液」を5〜10cc
  (鉄を中心とした微量元素供給のため)
(3)「テトライニシャルスティック」15cc
  (遅効性カリ分供給のため)
(4)「ハイポネックス洋ラン液」を4cc
  (即効性窒素・リン・カリの補給のため)
3.以上を水槽に入れ、イニシャルスティックが溶けるのを待って適当にかき混ぜます。これで底床肥料はOKです。この手の小さい水槽では底床の厚みがどうしても薄くなってしまいます。したがって底床に混ぜ込むようなセットの仕方だとだんだん底床から肥料が染み出してきます。そうなると水槽の中がコケだらけになります。よって底床に混まないこのセット方法が良いと思います。

4.溶かした肥料の上に“まんべんなく”かつ“一気に”「ADA アクアソイル アマゾニア」を敷きます。ゆっくり入れると最初に入ったソイルが肥料液をみな吸ってしまい、底床の一部に肥料が偏ってしまうので要注意です。

5.底床ができ上がったところで石や流木を配置します。
 今回は近所の道端に落ちてた石を散歩のついでに拾ってきました。しかしショップで売られている石の方が安全なのは言うまでもありません。水質を変化させる物質が溶け出してきやすい石は使えません。
6.次に適当な場所に水草を植え、他の水槽の水を注ぎ込んだらでき上がりです。水はソイルが巻き上がらないようエアチューブを使うなどして注ぎ込みましょう。

今回使用した水草:

(左奥から順に)
・ ラガロシフォン マダガスカリエンシス
・ ロターラ ワリッキー
・ パールグラス
・ ロターラ マクランドラ ナローリーフ
・ エキノドルス ハンリック
・ ゴイアス ドワーフ ロターラ(ヤマオカさんからのいただきもの)
・ グロッソスティグマ

セットして72時間が経過した状態です。
濾材のしぼり汁でワムシやミジンコも含めて移植したため
に、水の澄むのは早いです。
ここで、ミナミヌマエビを、途中で死ぬ分を見込んで10匹入れま
した。

 

真正面からレイアウトを見ると、このような感じです。土を盛り上げたレイアウトをしても、フィルターを使っていないので水流で崩れる心配がありません。

 さて、ここまで卓上アクアリウムのセッティング例をご覧いただきましたが、セッティング自体は簡単だということがお分かりいただけたと思います。一番難しいのは、“生体の選択”と“維持の仕方”です。

 

3. 生体の選択

生体の量について>

 生体をどのくらい収容できるかは、水量と腕の2つの要素でほとんど決まってしまいます。
 あえて目安として示すとなると次のような感じになります。
・200ccのコップなら、水草を植えれるだけ植えて、それにミナミヌマエビが1〜2j匹ぐらい
・10cmのサイコロ水槽(1リットル)なら、水草を一杯にいれて、ラスボラ=ウロフタルマのサイズで3〜4匹が限界です。
・今回の30cm水槽(11リットル強)なら、アカヒレサイズが10匹、ミナミヌマエビが10匹以下ぐらいです。
 あとは、各自の「腕」に合わせて数を上下させて考えて下さい。
 また、この目安を使うときにはいくつかの点を考慮する必要があります。「魚は体長が2倍になると体積は5〜7倍になる」いうこと、「活動が活発な種類かどうか」ということ、「植物質のものを好んで食べるかどうか(好むなら多目に入れられる)」ということなどです。

生体の種類について>

 まず“セットする水槽をそのまま冬の間も維持し続けるのかどうか”を決める必要があります。春から秋まで楽しんでそのあと解体してしまうつもりなら、生体の種類について考える必要があまりありません。熱帯魚ショップで手に入るものの大部分が使えることになります。
 一方、冬場もそのまま維持し続けるのなら冬の低温にも耐えられる種類を慎重に選ぶ必要があります。

 選ぶ時の最初のチェック点は、水槽の置き場所として考えているところが“冬場どのくらいまで冷え込むか”です。
 卓上アクアリウムはモーター音がしないし小さいので枕元にも置くこともできます。そういうところなら人間の体温があるので、冬の明け方でも零下になったりしません。冷蔵庫の上や横など、放熱がある場所も暖かくて良いです。あと、水槽の上部濾過槽の上も暖かいです。そういう暖かい場所を選んで設置した場合にどのくらいまで水温が下がるかを考えましょう。
 ただし、次のようなことにも留意しておかねばなりません。すなわち、気温が一時的に5度まで下がることがあっても水温は5度までは下がらない、ということです。水温は緩やかにしか下がりませんから、昼間に水温が12度ぐらいまで上がる水槽では夜間に気温が5度まで下がっても水温の方は7度までしか下がらなかったりするわけです。

 予定していた場所が夜明けに0度近くになるならば置き場所を変えないといけません。その温度で維持するのはほとんど無理です。魚が死にます。

 また、昼間は12度以下にしかならず明け方は4度近くまで下がるような場所ならば、選ぶべき生体は日本産の魚と水草です。この場合、魚は小型であるメダカなどに限定されることになります。

 昼間15度くらいまで上がり明け方でも7度くらいまでしか下がらない場所なら、温帯産の魚と水草が飼育できます。熱帯魚の本にも温帯産の生体は何種類も載っているので、本の「原産地」の欄を世界地図片手にチェックしてみて下さい。
 具体的には、メダカの仲間(メダカやフラグフィッシュなど)や、アカヒレ、卵生メダカの一部(キノレビアス ニグリピニス、キノレビアス ベロッティ、)などの魚、あるいは、ミナミヌマエビなどが飼えます。
 水草については、日本産のものだけでなく熱帯産のものにも冷温に耐えられる種類がけっこうあります。水草は水温をちょっと高めに保つだけで、育てられる種類がぐんと増えます。

 ただし、いずれにしても「耐えられる」というだけであって、繁殖などに向いた温度ではありませんからそういった期待はできません。ギリギリで生きているわけで決して良い状態ではないことを知っておきましょう。あとはご自分でいろいろ試してみてください。

 このときの判断のもう1つのポイントは、「1日の最低水温が少々低めでも、最高水温がある程度高ければ生体は耐えれる」という事実です。逆に「昼間あまり水温が上がらない場所では、たとえ最低水温が高めでも生体は死んでしまう」ことが多いです。このあたりのことも知識として知っておきましょう。

※ 余談になるかもしれませんが、一つぜひ注意していただきたいことがあります。「日本の冬を越せる水草を扱う場合決して屋外に流出させない」ということです。流出させると環境破壊になってしまいます。ゴミを埋め立て処理している地域の方は特に注意が必要です。ゴミ箱に捨てたトリミング屑から流出する危険性もあります。

 この他にも、水草の選択では、「クリプトなどの流水を好む水草は避ける」、「葉のサイズの大きいものは避ける」など、もっている知識と経験を総動員させる必要があります。
 また魚やエビについても、その性質や組み合わせなど考慮しなければならないことがたくさんあります。到底全部はここでに書ききれません。このあたりがこのタイプの水槽の特に難しいところです。まあ、こういうところが難しいからこそ、フィルターやヒーターなど様々な器具がここまで発達してきたのですが・・・

 

 

 さて、左の画像は、セットしてから1週間が経過したところです。この時点でアカヒレを10匹投入しました。
 水槽は窓を塞ぐように置いてあるスチールラック(棚)に載せてあります。後ろのカーテンを開けると窓があり、そこから入る自然光で維持されています。“朝カーテンを開け、帰って来たら閉める”という方法で、1日に8〜12時間程度の間接日光(西日)を浴びています。
 

 この水槽を観察しているとグロッソが典型的なCO2不足の症状を示しているのを発見しました。そこで早速、発酵式のボトルとデナリーのシュネッカ(拡散筒の一種)でCO2の添加を開始しました。

 しかし! これが原因でたいへんなことに・・・・

 続きは「卓上アクアリウムの維持」で。

 


 

卓上アクアリウムをグラスで作った例。

保温のため、上部濾過器の上で維持されているところ


 

小さい卓上アクアリウムの例2つ

 



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