■GOOD AQUA■
 

卓上アクアリウムの維持    01.10.02 04.01.27
  


 
1.セットしたあとの維持

 卓上アクアリウムの場合、その維持方法は基本的には水槽内の自然の自由意志まかせです。
  しかしそれでも最小限のことは人間がやらねばなりません。そして、この「最小限のこと」として、「何をやるべきか、いつやるべきか」を見極めるのが難しいところなのです。見極めるためにはある程度の経験が必要になります。手を入れ過ぎれば水槽内にやっとでき上がったバランスが崩れてしまいますし、一方、手入れを怠ると以下のようなことになってしまいます。

 セットしてから2週間が経ったら、な、なんと、こんな状態に・・・。
 緑がとっても綺麗ですね。ニッコリ
 ガラス面にコケがつくのはセット初期だからしょうがないとしても、水草の状態があまりにも無茶苦茶になってしまっています。グロッソはCO2過多で伸び過ぎてジャングル状態。他の有茎草もグロッソに栄養を取られてしまったのか、典型的な栄養不足の症状を示しています。

 こうなったら、「ここでどうするかが、大事なところです。手を加えるべきか、あるいはこのまま水槽の中の生態系に任せておくべきか・・・

 で、・・・今回は「生態系に任せる」ことに決めました。

 

 ・・・そして、それから3週間が経過・・・

 

 セットした時点から計算すると合計で5週間が経過しました。
 すごいことになっています・・・
 前面のガラスのコケは落ちつきましたが、グロッソスティグマは、これが有茎草であることを十分認識させてくれるすばらしい姿に育っています。

 ちなみにこの時点までの手入れとしては、蒸発分の水を足すだけで、エサやりも換水もしていませんでした。が!これは明らかに「判断ミス」でした。

 この水槽は、これはこれでとても「自然な」水景なんですが、残念ながら私はこれを眺めて楽しめそうにはありません。

 そこで、ちょっともったいないのですが、リセットすることに決定いたしました。

 

 

 


 「だぁ〜っ! 大失敗っ!!」
 

 

 

 

2.リセット

 リセットです。
 まず、アカヒレとミナミヌマエビと再利用できそうな水草を、塩素中和済みの水に取り出し、ソイルと水は捨てました。
 セットの仕方は最初のセットとまったく同じです。他の水槽に使っている濾材のしぼり汁で肥料水を作り、ソイルを敷き、石を配置します。
 そこへ、この水槽に入っていた古い水と別の水槽の水を半々ずつ入れ、アカヒレとミナミヌマエビと水草を戻しました。
 今回は、もちろん「シュネッカ」は無しです。
 代わりに普通のエアストーンを発酵式のボトルの先につなぎ、そのまま水槽に放り込みました。この方法だとほとんどのCO2が無駄に逃げてしまいますが、まあ、今回はそれで「よし」とします。

 ということで、これでリセット完了です。
 このあと1週間が経過した時点で1/3の換水を1回実施しました。

 

 しかし、この後4週間経ったときに、今度は夏の高温と太陽光が原因で水槽の中に植物プランクトンが異常発生!水がいわゆる「グリーンウォーター」になってしまいました・・。夏場の沼とか池でよく見られるあの現象です。
 そこで、対策として植物プランクトンを食べてくれる動物プランクトン(カイミジンコ)を投入することにしました。

 まず、カイミジンコがたくさんいる水槽の底の方から水を取りました。
 その水を目の細かいネットで漉します。
 ここで1/3の換水を行い、漉し取ったカイミジンコを水槽に投入。
 (蛍光灯は撮影のために載せてます。右のプラケの中によけてあるエアストーンが、この水槽でCO2を添加するために使っているものです。)
 投入した後の水槽の中の様子を見てみるとこんな感じです。
 石についている小さな白い粒粒がミジンコです。

 

 

 グリーンウォーターになってしまう問題が解決した後は順調に推移しました。水面に近いところに若干のアオコが残っていますがこれも徐々に消えつつあります。

 

3.完成

 リセットしてから7週間経過しました。
 これで一応「完成」です。

 この水槽は、「肥料の追加無し・CO2の添加がごく僅か」という条件なので水草の生長スピードが非常に遅いのですが、7週間経ったあたりでなんとかそれなりに見れる水景になりました。ただ、前景のグロッソスティグマには光があまり当たっていないのでまだ密生には到っていません。綺麗に揃うにはもう少し時間が必要です。
 ちなみに、背景が赤いのは単に撮影用にライトをあてているだけです。・・・蛇足でした。

 

 さて、ここまで紹介してまいりましたように、「卓上アクアリウム」は決して簡単ではありません。
 最近の水槽なら、技術に不足があっても器具類が代わりに働いてがカバーしてくれます。しかし「卓上アクアリウム」だとそうはいきません。自分の知識と技術力がそのまま水槽の状態となって現れます。水槽の状態を見極める力が欠けていた場合は、ご覧いただいたようにすぐに水景に反映されます。
 そういう意味で、「卓上アクアリウム」は自分の“本当の力量”がためされる水槽だとも言えるでしょう。ちょっとコワイですよね。
 しかし、昔はみな今のような器具を使わずに水槽を維持できていたのですから、初心者の段階を卒業したら、「基本を見直す」という意義からもぜひ一度は挑戦されると良いと思います。
 何よりこの水槽の魅力は、実力が備わってさえいれば「見て楽しむことに専念できる」点です。時間もお金も手間もかからず、モーターの音もない静かな水槽を机の上でいつでも身近で観察することができます。

 みなが寝静まった夜更けに机で書き物をして疲れたとき、ふと目をやると綺麗な水景がライトに照らし出されている・・・・。そして水槽の中をのぞきこむとまるで別の世界が広がっている・・・。
 どうでしょう、けっこう魅力的だと思いませんか?

 


追記04.01.27

卓上アクアリウムの換水の方法について

 私が行っている方法は大きく分けて4つあります。

(1)蛇口につけた簡易浄水器から直接ちょろちょろ入れてあふれさせる
  :水温さえ調整した水であれば「トレビーノ」などで塩素が十分除去されるので直接注いで大丈夫です。

(2)ふつうの水槽からエアチューブで流し込んであふれさせる
  :別に維持している水槽からその水を分けてもらう方法です。こなれた水をもらうことになるので生体に一番やさしい換水方法だと思います。

(3)コップぐらいの大きさの水槽ならそのまま洗面所で傾けて排水&注水
  :容器を傾けて洗面器に排水し、次に、別に作っておいた新しい水を入れるか、あるいは(1)(2)のどちらかの方法で水を足します。

(4)可能な限り丁寧に行いたい場合のみペットボトルとエアチューブで吸い出す
  :私はふだん卓上アクアリムぐらいの水槽なら底床掃除をしていません。するにしても、換水前にピンセットで底床の表面をちょっと掻き回してゴミを浮かせ、それを排水するぐらいです。しかし、何か特別な問題が発生したときなど、ペットボトルにエアチューブをつないだもので排水することがたまにあります。その作り方と使い方は次の通り。(7年ぐらい使ったボトルなのでなんとなく薄汚れていますがご勘弁を。作り直すの面倒くさかったんで・・)

『 水槽チュルチュル 』 (サイホンの原理を使ったミニ水槽用排水器)

<作り方>

 作るのは、CO2の発酵式発生器に穴を空けた物です。

1.ペットボトルのキャップの中心に穴を空け、エアチューブのジョイントを突っ込んでボンドで固定する。固まったらエアチューブを着ける。

2.ボトルの上部に指でふさげるぐらいの大きさの穴を空ける。

 これで完成。

<使い方>

水流の起動
1.右利きなら右手でエアチューブを持ち、左手でボトルを強く握って中の空気を押し出す。
2.その状態を保ったまま右手でエアチューブの先を水槽の水に浸け、左手の人差し指か親指で穴をふさぎながら握っていた力を緩める。
3.すると水がエアチューブから吸い込まれてボトルに入り始めるので、ボトルを低い位置に保って穴から指を離す。するとあとはサイホンの原理で水が排水され続ける。

※1 水流の調整
 水流を緩めたい → ボトルの位置を水槽の水面近くまで持ち上げる
 水流を強めたい → ボトルを下げる
ボトルの上端を水槽の水面より上に持ち上げると水流が止まってしまいます。そうなったらもう一度1〜3を繰り返して再起動させます。
 水流の細かな調整は、右手でエアチューブを2つ折りにして握ってその力の強弱で行います。

※2 チューブに詰まったゴミの除去
 エアチューブは細いので排水しているうちにゴミが詰まってしまうことがあります。そのような場合は、
 (i)穴を指でふさぎボトルの中の空気を押し出して水を逆流させてゴミを取り除く
 (ii)そのまま指を離さずにボトルを握っている力を緩める
 というようにすればゴミの除去と再起動が一発でできます。

※3 穴の位置
 ボトルの穴は、ボトルの形状や大きさ、手の大きさなどを考慮して自分が使いやすい位置に空ければ良いでしょう。ただし、あまり下の方に空けるのはダメです。右手で水を吸わせているエアチューブに気がいっているうちにボトルにたくさん水が入り、その穴を超えてこぼれてしまう事故がたびたび起きます。

※4. 底床の清掃
 あまりないことだと思いますが、何らかの理由で卓上アクアリウムの底床の中を掃除する必要が発生することもあるでしょう。そういうときはエアチューブの先に植木の活力剤のアンプルの空き瓶を使うのがおすすめです。底をカットしてそれを底床に表面に軽く押し当てながら排水すれば汚れを吸い上げられます。アンプル入りの植物活力剤は100円ショップでも入手可能です。

容器の底を切り落とし、ジョイントなどでエアチューブと接続します。
画像のアンプル容器には白い色がついていますが、最近は緑がかった透明のものが簡単に手に入るようになりました。透明なものの方が吸い込んでいる様子が観察できて使いやすいはずです。

 水を排水しながらアンプル容器を底床の表面にあてると、底床の表面近くのゴミだけが吸い込まれ底床材は吸い込まれにくくなります。底床材を吸い込んでしまう場合は、チューブを右手で2つ折りにして握り、握る力の強弱で水流の強さをコントロールします。


 
卓上アクアリウムの一例。
(カラーボックスの上に載っています)

 


 

15cmアクリルサイコロ水槽で作った卓上アクアリウムの例。

 



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