貧乏人の夏場の高温対策 01.04.23 01.04.28(注意点を加筆)
テレビ番組風に・・・
「 貧乏人仲間のみなさん、こんにちは〜!
今回は、春から秋にかけて問題になる水温の上昇を、どうやって抑えるか、っというお話しです。『エアコンつけたらいいじゃん!』と言ってるそこのあなた! そのとぉ〜〜りです! エアコンをつけっぱなしにして問題無い方には、エアコンをつければおしまい。
『エアコンなんて無いよぉ〜(T_T)』って言ってるあなた! または、ヨメさんに『魚ごときに、エ〜ア〜コ〜ン〜!?(-_-メ)ピキッ 』と脅されているあなた! あなたは私のお仲間です。 ”貧乏人仲間”に違いありません!( ̄^ ̄)キッパリ お仲間のみなさんは、このまま一緒に先に進んでまいりましょ〜う。
高温対策の最初は、「部屋の通風を良くすること」から始めます。 清水の舞台から飛び降りてしまって息も絶え絶えで購入した水槽用クーラーを使っていても、その高温の排気を部屋の外へ逃がさないことには、熱交換器の熱とモーターから出る熱の併わせ技で、どんどん室温が上がります。そうすると、その室温で温められて水槽の水温がますます上がり、クーラーもさらに活動し、熱がどんどん排出されて・・・と、悪循環に陥ってしまいますね。
「まずは部屋の通風を良くする」、これが大切です!具体的には、換気扇を弱く回しておく、部屋の窓を少し空けておくといったことを心掛けます。このときのポイントは、「風の通り道を考える」ということです。窓を1ヶ所だけ開けるのではなく、部屋の対角線上にある窓を2ヶ所開けておくと風が通り抜けるので、すぐに部屋の空気が入れ換わります。
この場合、防犯対策をしっかりしておく必要があるのは言うまでもありませんね。
お金持ちの場合は、もちろんエアコンを使って部屋の中の熱を外へ排出すればすみます。
次は、熱源をやっつけます。
水槽周りで一番熱を発しているのは、蛍光灯の安定器です。 ですから、この安定器のやつらを蛍光灯から外して水槽から離してやると、ずいぶん温度上昇がやわらぎます。 でも、『そんな工作、めんどうだよ〜』という、私のようなあなた! お金に余裕があるなら、蛍光灯をインバーター式のものに替えましょう。インバーターの基盤を買って改造してもよし、インバーター式蛍光灯に買い換えるのもよし、インバーターにすれば、ずいぶん熱の発生が抑えられます。 そして、さらにお金があるなら、蛍光灯をやめてメタルハライドランプにする、という手もあります。
『だ、か、らぁ〜、改造するのもめんどうだし、金も無いんだよ〜〜。」という、ますます私に似ているあなた! もう、あきらめてください・・・・。
というのは冗談ですが(笑)、そんな私たちに、照明の熱源を根本的にやっつける方法はありません。
仕方が無いから、次善の策、すなわち、熱を効率良く逃がすことに力を注ぎましょう!あ、忘れてましたが、水中フィルターや内部式フィルターのモーターから出る熱でも、けっこう水温が上がります。気をつけましょう。 だからあんまり人気無いのねん、内部式フィルター。
さて、熱をうまく逃がすにはどうすればよいか?
簡単なのは、蛍光灯をちょっと持ち上げて隙間を作ることですね。 隙間から熱い空気が逃げてくれます。 あんまり持ち上げすぎると、今度は光量の低下が問題になるので、「ちょっとだけ」にするところがポイントです。”ちょっと持ち上げる道具”は、メーカー各社から出ています。 NISSOのインバーター蛍光灯には専用のものが用意されていますし、変形水槽にも専用のものがあります。
また、その他、汎用性のあるものもいろいろあります。
サモア社の汎用製品 日本動物薬品社の汎用製品 しかし、このような高価なものを買わなくても、安〜くあげる、私たちにピッタリな方法があります。それは、以下の通りです。
まずは、外部式密閉フィルターを使って蛍光灯を2基載せている場合です。この場合、一番安上がりなのは、細い角材を蛍光灯の下に突っ込む方法です。
ホームセンターで手に入る2.5センチ角ぐらいの細い角材です。140センチぐらいの長さのものが180円程度で売られています。
これをノコギリで切り、水槽の前後の幅より長めのものを2本作ります。その2本を蛍光灯と水槽の間に挟めば、おしまい!こんな風になります。
このぐらいの細い角材なら、光が回折するので影はほとんどできません。というか、影は見つけられません。
角材は、短めより長めの方が蛍光灯の取り回しが楽です。ニッソースティングレー106なら37センチぐらいです。
そして、このように角材で蛍光灯をリフトアップした上で、さらに蛍光灯の上からクリップファンなどの扇風機で風を送り込むと、より効果的に水温を下げることができます。
しくみとしては、扇風機の風が2基の蛍光灯の間から入り、水面全体をまんべんなくなでて、角材の隙間から抜けるようなかたちになります。吹きつけた風が角材の間から抵抗無く抜けるので、蛍光灯が発する熱と、水面から気化熱を奪ってできる湿気た空気の両方を効率良く排出できます。
これには、手に入り易く安価で、軽量のクリップファンがお勧めです。クリップファンには羽の直径が大き目のものと小さ目のもののだいたい2グループがあります。製品によって、風切り音と耐久性に当たりハズレがあるのですが、大きい羽のグループにはハズレが少ないです。もちろん小さい羽のグループにも当たりはあります。展示品がおいてあるお店では、必ず耳を寄せて音の大きさを確かめて買いましょう。
クリップファンの寿命は、1〜3シーズンです。ハズレは1シーズンで寿命が切れ、当たりなら3シーズン以上使えます。
購入のタイミングは、夏の後半!お盆の前後です。そのシーズンの売れ残りをはいてしまう為に安売りされます。「在庫処分 980円!」っていうような感じです。シーズンの初め(初夏)に買うと、同じものが1480〜1980円します。 んなもんで、私は毎年、寿命の切れそうなやつの、次シーズン代替品として、夏の終わりに買っておきます。
クリップファン以外にも、上の画像にあるようなアクア向けのファンもありますが、これらはなぜか高価です。
また、コンピュータ用のファンが使われることもあります(上のアクア用のものとほぼ同じもの)。安くて(600円〜800円)効果もあるのですが、手に入りにくい、置くには工夫or加工が要る、そのため交換がめんどう、クリップファンよりは音の大きいものが多い(当たりハズレが大きいです)、などの短所があるので、「次点」と言えそうです。但し、ニッソー「ルームメイト901」などのコンパクトオールインワン水槽に加工して組み込んだりするのには便利です。
クリップファンの大きい羽のタイプと、小さいタイプです。
この小さい羽のタイプは「当たり」でした。
クリップファンのセットの仕方は以下のような感じです。
まず、買ってきたクリップファンの首のところから、クリップ部分を外してしまいます(クリップ部分は使いません)。 次に、釣り糸(太さ2〜4号ぐらい)を、ファンの後ろのスリットの一番上のところに通します。(写真は、ファンの上方から見たところ)
コツとしては、糸の先1センチぐらいをしっかり2つ折りにし、糸の先が釣り針型になるようにあとをつけます。これをスリットから差し入れると、簡単に横のスリットから引き出せます。慣れれば10秒で済む作業ですが、このコツを見つけるまでは、ピンセットや歯石取りピックなどを使って悪戦苦闘していました(笑)引き出した糸の先をくくって輪っかを作っておきます。 次に、天井に「?」字型のフックを取り付けます。
ここでのコツは、フックを1本ではなく2本つけることです。1本だとファンを吊り下げたときにファンの本体が安定せずにゆっくり回転したり、揺れたりしてしまうことがあるのですが、2本つけることで安定します。
この片方に、先に作っておいた糸の先の輪っかを掛け、糸のもう一方の端を持ってフックのところまで持ち上げ、適当な長さのところで糸を切ります。切ったところにも輪っかを作り、もう一方のフックに引っ掛ければできあがりです。フックの取り付け位置は、2基の蛍光灯の隙間の真上、かつ、風が水面にまんべんなくあたるところをよく検討して見つけます。
画像に写っているファンは、水槽2つに風を送っているので、この位置ですが、水槽1つなら、もっと右寄りにつけて風が水面全体をなでるようにしましょう。
コツ; ファンの仰角は、スリットの一番上に糸を通しておけば、丁度よく風が流れる角度になるはずです。ファン全体の向きは、電源コードをどっちにもってくるかによって変わります。必要なら延長コードも使って、良い向きになるようにコードをもっていきましょう。通気の良い部屋でこのような角材&ファンを用いると、水温を2〜5度下げることができます。
ところが、リフトアップに角材を使う方法は、上部式濾過槽をセットしているときには無理です。
そこで、上部式濾過槽を置いているときのリフトアップの方法が問題になります。もちろん、市販の器具を買えば問題ありません(笑) 問題なのは、「安く上げる良い方法」です。結論から言って、「これが決定版だ!」と言えるようなものは見つけられていません。現状では、「まぁ、こんなもんでしょ」というぐらいの方法しか無いのではないでしょうか。
以下紹介してみます。ポピュラーなところで、クリップを使う方法です。むかし雑誌で紹介されていたので、実際に活用されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
クリップ6つを、水槽の縁の3方に挟み、その上に蛍光灯を載せます。
このクリップは、100円ショップで、6つ100円で買ったものですが、文具売り場に置いてあるキャラクターのついたクリップにも使えるものがいろいろあります。コツ; 横につけるクリップは、蛍光管にあたったりするので、あたらないところをうまく見つけてください。下手をすると、蛍光管の熱でクリップが溶けます。 このクリップを使う方法は、安価で手に入り易いというメリットがあるのですが、載っている蛍光灯が若干不安定になるデメリットがあります。小さなこどもが手を掛けると、落ちてくる可能性がありあります。
また、エサやりや水換えで蛍光灯を外したあと、再び載せようとすると、うまくはまらないことがあってイライラします。
金網を使って、自分で器具を作る方法もあります。
もともとはリシアやホソバミズゼニゴケを挟むために作った、ステンレス製金網の箱です。 コツ; 高さを確保するために2つ重ねてアルミの針金でくくって合体させました。
安定性を増すために、中心をギュッと押さえてややへこませてあります。これを、こんな風に挟んで使います。 この方法は、安定性もなかなかで、取り外しも簡単なのですが、この箱自体を作るのが面倒くさいです! リシア用に作るついでがあれば、お勧めします。
ところで、このような用途に使えるかどうかは、
1.通風性がある
2.蛍光灯の熱に耐えうる
3.耐水性がある
4.蛍光灯の着脱が簡単(水の補充がし易い)
5.蛍光灯が安定する
6.入手方法・価格が適当
7.厚さ(高さ)が適当 といった条件を満たすがどうかで決まります。何か、他の良い方法をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい!
さて、この上部式濾過槽を置いている場合の風の送り方ですが、やはりクリップファンの首から先を使います。クリップで持ち上げるときも、リシアのネットケースで持ち上げるときも同じです。
方法は、濾過槽のフタを取って、シャワーガイドの上にファンをゴロリと転がせばOKです。濾過槽の表面と前半分の水面の両方に風があたり、両方から気化熱を奪ってくれます。(初日は濾過槽が乾いてちょっとクサイです)
もちろん、上で紹介したように、天井から釣り糸でぶら下げてもOKです!
以上のような方法の他にも、高温対策にはいろいろあります。
たとえば、
1.エアチューブをぐるぐる束ねて水槽に沈めてこのチューブに少しずつ水道水を流す方法(排水は風呂に溜めます。この方法は効きます!)、
2.水を入れて凍らせたペットボトルを直接水槽に入れる方法、
3.エーハイムのホースを氷などで冷やす方法
4.涼しい部屋ならエアポンプでエアーを送り込む方法
5.蛍光灯は夜間にのみ点灯させる方法
6.水槽用のクーラーを設置する(正道!) などなど、
挙げればいろいろありますね。しかし私としては、やはり、「安さ」と「効果」の両方の点から、上で紹介してきた方法が一番のお勧めです。
☆ 注意点 (01.04.28加筆)
さて、ここまで安上がりなクリップファンを使う方法を紹介してきましたが、その際、注意しなければならない事もあります。
(1) 1つ目は、水温の下がり過ぎです。水温の上昇は、たとえば関西では4月上旬から始まります。
しかしこの時期、昼間は暑くても、夜になるととても冷え込みます。したがって、昼間はファンを回すなどして温度の上昇を抑えながら、夜はヒーターで温度を上げてやらなければなりません。
この時期、ファンを回しっぱなしにしたり、ファンをつけたと同時にヒーターを外してしまうようなことは、とても危険です。
よって、タイマーを使ってファンを昼間だけ回すようにするか、面倒でも自分でマメにスイッチを入り切りするようにしましょう。また、この春と秋は、魚が白点病に最も罹り易い時期です。
たとえば、サーモの設定温度を25度にしていた場合、昼間は温度が上がって27〜28度ぐらいになりますが、夜は冷え込んでサーモが稼動する25度まで一気に下がるわけです。そして次の日に昼間はまた一気に27〜28度まで上がる、というような日が続くことになります。小さな水槽では、さらにその変化の速度が速くなります。
このような激しい温度変化は、魚に大きな負担をかけます。そして、特に温度が急に下がる方向に動くと、白点病が発生し易くなります。
したがって、春・秋の温度変化が大きくなる時期は、サーモスタットを、ふだんより若干高い温度に設定しておくのが「コツ」です。たとえば、昼間の温度が高くなっているうちにサーモの設定を27度にしておくのです。そうすれば、夜になっても水温は27度のままで、魚にはあまり負担になりません。
種類にもよりますが、若干高めの水温が続くよりも、短時間で水質が変化する方が、魚にとってははるかに負担になるのです。
(2) 2つ目の注意点は、魚の飛び出しです。 水温上昇を抑えるためにフタを外すのは良いけれど、これで魚が居なくなってしまったのでは本末転倒ですよね。
そこで、必要に応じて、網戸用のネットで上面を覆うなどの工夫をしましょう。「●フタを加工する」にあるような、ネットのフタを自作するのも良いと思います。実験してみるとわかりますが、網戸のネットぐらいだと、風の通りもそれほど悪くならず、冷却効果もあまり変りません。
飛び出し易い魚としては、もちろんハチェットやバタフライフィッシュが挙がりますが、この他にも、例えば小型コイ科の一部やエビなども要注意です。あと、ランプアイやアフィオセミオンなどの卵生メダカの一部もよく跳ねます。卵生メダカは、小さな水槽で飼っていると動きの遅い魚ですが、大きな水槽に移すとたいへん活動的になる魚ですので、注意が必要です。
飛び出すのは、照明を点灯したときが多いです。驚いて激しく動くのです。特に、夜、寝ていて途中で起きてトイレに行ったときが要注意です。真っ暗な状態からいきなり部屋の電気を点けると、魚の種類によっては暴れまわって水槽から飛び出すものがいます。ところが、人間の方は寝ぼけているので水槽の様子にまで目がいきません。
また、このような、驚いて飛び出す事故は、当然ながら小さな水槽の方が起き易いです。
(3) 3つ目の注意点は、水の蒸発による水位の低下です。ファンで風を送ることで水温が下がるの蛍光灯の発する熱気を吹き飛ばすのと同時に、水面からの水の蒸発を促進させ蒸発によって奪われる熱(気化熱)の量を増やしているからです。したがって、当然、蒸発を促した分だけ水ははやく無くなっていきます。60センチ規格水槽なら、2日で6リットルぐらい減ることもあります。
必ずまめにチェックして、すぐに水を補充するようにしましょう。この点、光灯の着脱が面倒なリフトアップだと、ついつい水の補充を怠ってしまうので、リフトアップの方法を決めるときは必ずこの点もチェックしましょう。
また、ヒーターを横向けに寝かせてできるだけ底の方に設置する、可能ならポンプの吸水口を下げておく、というような工夫も事故防止になります。それと同時に、上でも述べましたが、部屋の通気を良くしておく事も大切です。通気によって、部屋の熱気を逃がすとともに、蒸発によって水分をたくさん含ませられた空気を室外に排出するのです。室内に湿った熱気がこもった状態だと、どんなにファンを回しても水温は下がらなくなります。
このとき、通気のために開ける窓などの防犯対策も、くれぐれもお忘れなく。
以上、何かお役に立ちそうなところがありましたでしょうか?
他に何か良いアイデアがありましたら、私にも教えてください。
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