大磯砂
 


  01.04.29 01.05.10(追記) 01.10.11(追記2)


 

 今回は、底床シリーズの各論、「大磯砂(おおいそすな)」についてです。

1.概観

 「大磯(砂)」とは、主に黒っぽい粒で構成される小粒の海産砂利の総称だ。実際は神奈川の大磯海岸で採れた砂利ではなく輸入物がほとんどだ。むかしは大磯海岸で採取されたものが水槽用に流通していたため、その名残でそう呼ばれているらしい。
 もちろん販売されている製品の名称は様々ある。「フィリピン砂」「南国砂」「海産砂などいろいろだ。製品によって黒い粒が多かったり白い粒が多かったりといった特徴が見られるが、みな全部ひっくるめて俗称として「おおいそ(すな)」と呼ばれている。
 また、一般に大磯「砂」と呼ばれているが、実際には粒の細かい「砂利」である。しかし、「大磯砂利」と呼ぶ人はいない。

 水草水槽で採取ものの砂利を使う場合、特に問題になるのが、「色合い」と「貝殻の混入量」だ。大磯は産地がどこであれ自然から採取されてくるものなので、同じメーカーの同じ製品であっても当然品質バラツキが存在する。したがって、購入する場合は袋ごとに自分の目でチェックすることが肝心だ。同じ品質のものを揃えるようにすると良い。
 「色合い」については、水景がしまって見えるので黒っぽいものが好まれるようだ。「貝殻の混入量」については、水を弱酸性に調整する必要がある南米アマゾン産の水草も含めて育てる予定なら、貝殻のできるだけ少ないものが良いだろう。貝殻や珊瑚の欠片は水をアルカリ性にしてしまうからだ。

 大磯砂の中目(1分)をセットした水槽の様子です。よく見ると砂利の中にいろいろな種類の石粒が混じっているのが分かるはずです。この水槽に使った製品では特に色のバリエーションが多いと思います。一般には、もう少し黒っぽい色の石粒の割合が大きいです。また、中目だと水草用としては粒がやや大きめなので、植えられたグロッソスティグマがソイルを用いたときほど密に生えていないのが分かると思います。 このあたり、「水草との相性」といったことも考えておかねばなりません。 

 

2.酸処理

 南米アマゾン原産の水草に人気がある現状において、大磯砂を用いるときに最も問題になるのが、貝殻や珊瑚の破片の混入だ。貝殻・珊瑚という“炭酸カルシウムの塊”が底床に混じっていると、それらが水のKH(=炭酸水素イオン濃度)とpHの値を押し上げ、南米産水草に不適な水にしてしまう。
 この点、インドやスリランカ、その他温帯域原産の水草を中心に育てている場合さほど問題にならない。これらの水草には中性から弱アルカリ性の水質を好む種類が多いからだ。

 一方、南米アマゾン原産の水草を大磯砂でうまく育成しようとなると、水槽にセットする前の段階で必ず混入している貝殻や珊瑚の破片を取り除いておかなくてはならない。そこでよく行われるのが、“酸”によって貝殻などを溶かしてしまう方法だ。強い酸性の性質を持つものであれば貝殻を溶かすことがでるため、みなそれぞれ工夫して様々な種類の物を使っている。

(1) 硝酸は、酸度が高くそれだけ効果的だが、同時に危険を伴うため、取り扱い方にはそれなりの知識が必要だ。また入手方法や使用後の処理の方法にも難しさがある。したがって、まったくお薦めできない。

(2) 塩酸は、酸度が高いため効果的に溶解でき、かつ硝酸に比べると安全性が高い。したがって、使っている人も多いはずだ。しかし「取り扱いに危険が伴う」という点では程度の差こそあれ硝酸と同様だ。
 よって、薬品の取り扱い方につき基礎知識をもっていないなら避けた方が良いだろう。たかが趣味のこんなことで失明や火傷のリスクを冒す必要はない。逆に薬品の扱いに手慣れているなら一番使いやすい方法のはずだ。

塩酸の入手方法と廃棄方法(kasimaruさん、智也さんにいただいた情報から)
 強塩酸1本で大磯砂を20kgぐらい処理できます。価格は実勢で350円程度です。普通の薬屋さんでも、トイレの黄ばみ取り用として鍵のついた薬庫の中に置いてあることがあります。店員(薬剤師)さんにあるかどうか聞いてみましょう。
 購入の際には、住所・氏名・用途の記入と、押印が必要です。用途については、大磯の酸処理について書いている熱帯魚の本を持って行って見せるのがお勧めですが、「便所掃除用」と書くのも、変な詮索をされずにすんで良さそうです。
 使用し終わった塩酸を安全に廃棄するには、重曹で完全に中和させることです。塩、水、炭酸ガスに変化します。
 ただし、あくまでも劇薬ですから、取り扱い方と安全について、それなりの知識が必要です。まったく分からない人は手を出さない方が無難です。

 
(3) 酸性が強い飲料

 レモンスカッシュやコーラなど酸性の強い飲料で処理する方法もある。この方法、含まれている貝殻の少ない場合には有効だし安全性の面と費用の面でも有利なのだが、混じっている貝殻が多い砂だと、溶かし切る前に液が中性になってしまって貝殻が残る。そこが難点だ。

 以下は、以前行った「コーラによる処理の効果」についての簡単な実験。

『 使ったコーラは、PEPSIとCOCAとUS(←スーパーの特売品)の3種類です。それと、私がいつも使っているco-opの「穀物酢」もそろえました。
 投入したのは、大磯砂から取り出した貝殻の破片=3ミリ四方くらいのもの4片と、綿棒の先ぐらいの珊瑚の破片3片、の合計7片です。

実験方法 ;

1. スチロール製の透明コップに、コーラ3種と穀物酢を50ccずつ注ぎ、スタート時点のPHを測りました(気温・水温とも25度)。

2. 次に、1時間後にもう一度PHを測定しました。
3. そして、それぞれに欠片(カケラ)を7つを入れて24時間放置しました(途中3回ほど混ぜました)。

4.最後にPHを測り、欠片(カケラ)の形状の変化を観察しました。

※ 注意!
この実験は、学術上の真理を究明しようというのではなく、あくまでも個人的な興味の範囲の実験ですので、PH計の性能上の誤差やmm単位の誤差は無視してます。n数も1しかないので、信頼性は低いです。あくまでも「感じ」ということでご参照ください。

結果 ;

  PEPSI COCA US 穀物酢 COCA
(欠片無投入)
欠片投入前のPH 2.2 2.3 2.3 2.7 2.3
1時間後のPH 2.4 2.4 2.4 2.7 2.4
欠片(カケラ)投入 ---
24時間後のPH 5.7 5.1 5.3 4.4 2.5

<欠片(カケラ)の形状>
・ コーラ3種 → 欠片の表面に気泡がついているが欠片の形状に変化はなし
・ 穀物酢 → 欠片は溶解してなくなっている。酢が白く濁っている。

所感 ; 

 コーラのPHが時間の経過とともに上昇しているところを見ると、コーラによっても欠片からカルシウムが溶け出していると思われます(炭酸ガスの放散のせいかもしれませんが)。ただし、指で強くつまんでもつぶれるようにはならなかったです。もっと長時間置いておけば変化も大きくあらわれたのかもしれません。
 穀物酢の方は、欠片は溶け切っていて酢がモワッと白く濁った感じになっていました。

 結論としては、コーラによる方法も一定の効果が見られるけれど食酢の方が効果がある、ということになるかと思います。 』

 

(4)食酢を使う方法

 私がもっともお薦めするのは食酢を使う方法。酸があまり強くないが、貝殻や珊瑚の欠片を溶かすぐらいの力はある。また、安全性も高くコストパフォーマンスも悪くない。

 
(ア)処理する大磯砂の量

 購入すべき大磯砂の量は、水槽の大きさと敷く砂利の厚さから算出する。大磯は“重さ”で売られているのがふつうだからだ。
 計算の仕方は次の通り。

 「購入すべき量(キロ)」 = 水槽の幅×奥行き×底床の厚さ×1.7(キロ)

 “1.7”というのは、「2分下」とか「中目」と呼ばれているぐらいの粒の大きさを想定した場合だ。もちろんこの係数は砂利の粒の大きさやその形状に大きく左右される。粒が大きめの大磯なら1.7という係数を小さくしないといけない(たとえば1.5)。
 これで計算してみると、
 
例えば60センチ規格水槽7センチの厚さで大磯砂(粒;7厘)を敷く予定なら、
0.6×0.3×0.07×1700=21.42 、 すなわち、砂の粒の大きさや形状にもよるが
だいたい21.4キロ買ってくればよいわけだ。

 
(イ)酢の種類

 米酢でも穀物酢でも、なんでもOKです。メーカーも、ミツカンでもコープ商品でもなんでもOK! 一番安いものを買ってきましょう。

 
(ウ)酢の量

 砂がひたひたになるぐらい入れますが、砂の粒が大きいと隙間も大きいのでたくさん要り、小さいと少なくてすみます。もちろん、酸そのものの必要量とは比例しませんが。
 目安としては、大磯5リットル(8.5キロ)につき、食酢1.8リットルぐらいです。
 例えば60センチ規格水槽に7センチ厚の大磯(粒;7厘)を敷くとすると、用意する砂の量は12.6リットル(約21.4キロ)なので、必要になる食酢の量は12.6÷5×1.8で、約4.5リットルぐらいとなります。0.9リットルの酢が178円で買えるとすると、4.5÷0.9×178で、890円程度かかることになります。
 ちなみに、酢の量が足りなかった場合、1〜2割ぐらいは水を足しても問題はありませんが、それ以上足すと酸の量が不足することがあります。それ以上は酢を足しましょう。

 
(エ)大きな欠片(カケラ)を取り除く

 食酢は、それほど強力ではありません大きな貝殻や珊瑚が入っていると溶かし切れずに残ってしまいます。したがって、めんどうでも、予め大きな欠片(カケラ)は取り除いておきます。
 この作業は、大きな黒いシートの上で行うと能率が上がります。ホームセンターへ行くと、アクリル板などが置いてあるコーナーに大きな塩ビシートが900円ぐらいで売られています。これを使うと便利です。切って、バックスクリーンとしても使えます。

 作業は、腰を傷めるおそれがあるので(笑)、机に座り姿勢良く行うか、風呂の椅子を持ってきてこれに座りコタツの上でやるか、立ってやるかのいずれかで行います。60センチ水槽の分だと、慣れれば1時間ぐらいで済みますが、はじめは3時間ぐらいかかります。

 シートに少しずつ砂を載せ、ピンセットで貝殻や珊瑚を拾い上げていく地味な作業です。ふつうは、30分もやっていると、その辛気臭さから「だぁぁぁあああ! ああ〜あ”!!!」となるはずです。したがって、この作業は一人でやらずに、家族全員に助けてもらいましょう。みなでやれば、すぐに終わります。 ただし! 交換条件を提示されても、当方は一切関知しません。

 「洗面器を使って大きな貝殻をピンセットで拾い上げる人」 

 (交換条件;肩揉み20分)

 この作業での「コツ」ですが、

・ 先に砂を水に浸けて濡らしておくと砂が黒くなり白い貝殻が目立ち、見つけ易くなります
・ 拾い上げた貝殻や珊瑚は捨てずに保管しておきましょう。あとで、PH及びKHを上げる必要があったときに使えます
・ アサリやシジミなどの貝殻は、片面が黒くて見逃し易いので、よく混ぜながら拾いましょう
・ 貝か石か見分けにくいものは、すべて取り除いてしまいましょう。悩んでいると時間がいくらあっても足りません。疑わしいものはみなやっつけることです

 さて、この作業、めんどうこの上ないのですが、食酢の酸がそれほど強力でない以上、やるかやらないかでその後の水草の生長に影響してきます。私の場合、「もう仕方が無いこと」と観念して必ずやることにしています(以前はやったりやらなかったり・・)。
 ただ、ざっと見て、目に付くような貝殻が入っていないような良質な砂の場合だけは、省いても問題ありません

 
(オ)洗浄と殺菌

 次に、バケツなどの容器に入れて、汚れとゴミを洗い出します。そして、続いて殺菌の作業を行います。寄生虫やその卵、病原菌など、変なものが水槽に持ち込まれないようにするためです。
 洗浄の為の洗剤は、洗剤が残った場合の生体への影響を考えて、使用しないようにするのが普通だと思いますが、私の場合、液体石鹸の「ミューズ」を殺菌を兼ねて使って洗っています。しっかりすすぐことを前提に、あとで酢に浸けたり、さらにすすいだりするからです。
 残留が心配なら、水だけで洗い、熱湯で消毒します。塩素系漂白剤で消毒しても良いですが、この場合もすすぎをしっかりしないといけません(私は使うことがあります)。
 余談ですが、「さ、さ、酸が効くサンポール」は、貝殻をよく溶かしてくれるのですがあとに匂いが残って、これがなっっかなか取れないです。したがって、『サンポール』は”不可”です。

 洗った砂は、しっかり水を切っておきます。

 
(カ)食酢に浸ける

 水をよく切った砂をバケツなどの容器に入れ、食酢をひたひたになるぐらい注ぎ、よく混ぜます。
 そうしたら、そのまま12時間放置します。

 このあと、12時間ごとに底からよく混ぜ返して、丸3日間浸けておきます。良い砂なら貝殻などは1日で溶け切りますが、貝殻が多いと3日ぐらいはかかるからです。

 この作業の「コツ」ですが、

・ 混ぜ返すときのことを考えて、大き目の容器を使いましょう
・ 食酢は、思ったより匂いがキツイです。屋内で行うときはラップなどでしっかりフタをするとか、風呂場に置くとかの工夫が必要です。屋外に置くときもご近所に迷惑をかけないように!
・ 混ぜ返すときは、しっかり力を入れてこね、溶けかけた貝殻と珊瑚を砕くようにすると、より反応を促進させられます。

 
(キ)すすぎ

 最後はすすいで完成です。すすいだあと、最後のすすぎ水の中に丸1日以上つけたままにしておけば匂いも軽減されます。
 ただ、少々酢が残っていても、特に問題はありません。

 使い終わった食酢は、そのまま流してしまっても大丈夫です。PHを測ってみるとわかりますが、貝殻が多い砂だと、酢はほとんど中性になってしまってます。
 園芸用の肥料に混ぜて使うと下水も汚さずにすみます。
 

(ク)使った後の食酢の処理 (たぬきもさんに頂いた情報です)

 使用後はヨモギ、ドクダミ、黒砂糖をいれて1ヶ月ほど漬け込んでおきます。これは、花壇に撒いたり園芸用に使えます。
 ヨモギやドクダミなどの草は入れられるだけ入れます。黒砂糖はバケツ一杯に軽く二握りぐらいです。
 土に撒くときには50〜200倍ぐらいに希釈して使用します。砂糖は折角はいってるカルシウムが有効に吸収されるためと腐敗防止の意味もあります。

 

3.カルシウム分以外の溶出

 大磯砂をよ〜く見てみると、何種類もの石粒が入っていることに気付かれると思います。これは、つまり、大磯からは色々な種類の物質が溶け出す可能性があるということです。
 実際、大磯砂を使って水草水槽をセットすると、KHの値は決して高くないにもかかわらず水草の生長が鈍ってくることがあります。換水頻度が低い維持をしている水槽ではこのようなことがよく起きます。そこで、換水を行うと症状が改善されます。ためしにGHを測ってみると値が高くなっていることがありますが、そうでない場合もあります。
 まあ、これだけ色々な種類の鉱石が混じっているのにKHとGHしか測っていない現状では、それ以外の様々な物質が溶け出していても発見できないのは仕方がないのかもしれません。

 このようなカルシウム分以外の物質の溶出については、様々な自然石の集合体である大磯砂の性質を考えれば、当然検討されるべきこととは思いますが、水草関係の本で、このことについて触れられていることは残念ながらほとんどありません。これからの研究が待たれるところです。

 と言っていても、我々の直面している問題は解決されませんね。 で、具体的な対策ですが、以下のようにすると、この問題をうまく回避できます。

1.”土”や”灰”を底床に加える

2.定期的に吸い出して新しいものを埋め込む

 これでなぜうまくいくのか、その理由は、はっきり言ってよくわかりません。具体的になんという物質が溶け出していて、土や灰を埋めることで何が起こっているのか、想像はできても、科学的に説明することはできません。 「ま、これでうまくいくならいいか・・」と思って下さい(^^ゞ たぶん、イオン交換によって溶出してくる物質を吸着しているのだとは思いますが、あくまでも「たぶん」です。

 ちなみに、昔から水草水槽をやっておられる方はご存知だと思いますが、大磯砂が主流だったときに、大磯底床のリセットまでの寿命を延ばすものとして発売されたのが、ADAの「パワーサンド」です。カルシウム分の沈殿で底床が固くしまってしまうのを防止するとともに、有機物で栄養分を補給し、加えて、カルシウム分をはじめ大磯砂から溶出してくるものを(たぶん)吸着してくれます。大磯砂と併せて用いるのには、たいへん役に立ってくれる肥料材です。ただ、簡単には交換できないところが難点です・・。

 ”土”については、手軽なところでADAの「アクアソイル」や、赤玉土が良いと思います。”灰”は、バーベキュー用の炭を砕いても使えますが、PHが上昇する可能性もあります。灰や炭の場合、農薬を含んだものを使わないように注意します。
 これらは、最初に大磯砂の下に敷いておきます。
 その後、「原因不明の水草の生長鈍化」が起きた場合(慣れれば見分けられるようになります)、あるいは定期的に、「プロホース」などの底床掃除道具で、底面の1/3を限度に埋めておいた土や灰を抜き取ります。そのあと、練って固めておいたものをかわりに埋め込みます。

 こうすることによって、この溶出の問題はほとんど回避できます。

 ちなみに、この「技(わざ)」を知っていると、「使い込んだ大磯砂」を苦労して探したり、大事にしまっておく必要もありません。 食酢で処理さえしておけば、新品の大磯砂も、使い込んだ大磯砂と同程度の性能を発揮します。お試しあれ。

 

4.維持のコツ

(1) 維持する上での、一番のコツは、今、上で述べたことです。土や灰を定期的に入れ替えることです。

(2) 次のコツは、底床掃除道具の使い方です。
 大磯砂の粒の1つ1つからは上述の通り色々な物質が溶け出し、その表面はボコボコになっています。顕微鏡などで見るとよく分かります。そのような状態になって溶出が少なくなっている大磯砂が、いわゆる「使い込まれた大磯砂」です。
 既述の通り、「技」を使えば、そんなに後生大事にしておく必要もなくなるのですが、わざわざその良い状態を壊す必要はありません。ところが、これに「プロホース」などを乱暴にザクザク突っ込むと、せっかく軽石状態になっている砂粒の表面が崩れて落ちてしまい、中の新しい面が出てきてしまいます。このようなことは非常にもったいないです。
 同様に、リセット時などに使い込んだ大磯をザクザク研いで洗うのもだめです。表面が剥げ落ちて新品の大磯に近づいてしまいます。これ、よくやってしまう人がいるので、要注意です!

(3) また、特に粒の大きい大磯砂によくあるのですが、長く使っていると粒の1つ1つに房状の藻が強力に付着します。この藻をとるために底床の表面をたくさん取り出してガシガシ洗うのもだめです!理由は同じです。
 このような藻が付着した砂は、プロホースなどで砂粒を吸いつけて水槽に沈めたプラケースに集めて取り出します。そのプラケースに台所用塩素系漂白剤をドボドボ入れて浸けておき、藻を取ります。よくゆすいだあと、水を換えながら3日以上置いておくと、漂白剤も抜けるので、そうしたら水槽に戻します。

 

5.保存方法

 一時的に保管しておくときは、ホームセンターなどで手に入る土嚢袋を使うと便利です。

 比較的丈夫な上に、網目状に編まれているので水も抜けてくれます(よって、ソイルは不可です)。これに詰めてベランダにでも庭の隅にでも置いておけば、次の底床変更のときにまたすぐに使えます。
 1袋に60センチ水槽2つ分ぐらいの底床が入りますが、重くて持ちにくいので1つ分にしておくのが懸命です。カッコつけて一気に持ち上げると腰を痛めるので、女性のいないときに1人で作業しましょう。

 保管の前に砂を綺麗に洗う必要はありませんし、むしろ洗わない方が次回使うときに濾過の立ち上がりが速くて良いです。

 

ホームセンターなどで、10枚200円程度で手に入ります。
水が染み出てくるので、詰める作業は庭か風呂場でやります。
うっかり部屋の中でやると、床が水浸しになって泣きながら拭き取ることになります。
(追記2)最近は、時間が経つと分解し始めいずれ自然に返る製品が増えてきました。したがって、間違ってこのタイプの袋に保管すると、あとで破れてこぼれる恐れがあります。よく確かめて買ってください。

 

6.その他

 「●硝酸塩の蓄積」でも少しふれましたが、大磯砂を底床に使っていても、CO2の強制添加無しで南米産の水草を育成することはできます。
 特別な設備は必要ないのですが、大磯砂は必ず酸処理をしておきます。また、有機物を一定量蓄積させることと、バクテリアやプランクトンの扱いに気をつけることがポイントになると思います。ただ、他にも色々な知識が必要ではあります。
 このような方法で維持されている方の中には、底床の下に木片や木炭を入れる方もいらっしゃいます。このような木片を入れる場合、私のお勧めは流木にドリルで穴を空けて出る木屑です。硬いので、分解も穏やかで急速に水質が悪化することがありません。これに木炭を砕いたものと草木灰を混ぜて底床下に敷き、あとは餌などの有機物をしっかり入れ、微生物のタネを入れればおしまいです。あとは維持の技術次第です。

南米水草水槽の例

大磯砂・CO2無添加・稀換水

 



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