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Nannostomus marginatus

ナノストムス マジナタス
(ナンノストムス マルジナトゥス)
(左:オス、右:メス)

 コケ取り部隊の中で、みなに最も期待されていない、と言えるのがペンシルフィッシュの仲間ではないでしょうか。
 そのコケ取りペンシルフィッシュの中で、小柄な種類の1つが「マジナタス」です。成魚でも3センチぐらいです。そのため「ドワーフペンシル(小さいペンシル)」とも呼ばれています。
 寸詰まりのちんちくりんで、とても「ペンシル」とは言えない体型ですが、姿もその動きも愛らしい魚です。
 ところで、この「マジナタス」にそっくりな魚で「スリーラインペンシル(trifasciatatus)」という別の種類の魚がいます。そして、この2種類はよく混同されて販売されています。図鑑に間違って載っていることさえあります。また、ショップによってはどちらが入荷しようとも「ドワーフペンシル」という名前の札がつけられていることもありますし、分けて販売するつもりであっても店員が区別できないで両方を同じ水槽に入れて売ってしまっていることもあります。
 したがって、この2種のどちらかを「これが欲しい」と思って購入する場合には、自分の目でしっかり見て判断しないとダメです。

 ただ、どちらもよく似ているので、あまりこだわる必要がないかもしれないですが・・。

 この「マジナタス」は、equesunifasciatusといった他のペンシルのように、みなでそろって同じ方向を向く性質があまり観察されません。しかし群れて泳ぐことは多いように思います。
 また、たいへん臆病な性格で水草の陰に隠れていることが多い魚です。
 marginatusとは、「縁どりのある」という意味です。
 その名の元になったのがこれなのかどうかは分かりませんが、背鰭や尻鰭に黒い縁どりがあります。
 この縁どりはたいへん印象的で、スリーラインペンシルとはこれを目印に見分けることができます。
 低いpHとKHで上手に飼えば、マジナタスは自家繁殖も簡単です。

 ←左の画像はオスです。

 こちらはメスの個体です。→

 メスは、胸のあたりからお尻にかけてがふっくらしているので見慣れれば簡単に雌雄の判別ができます。

 この画像は、水槽の背面の方で産卵している最中の個体です。
 残念ながら影になっている場所なので、産卵シーンそのものは撮影できませんでしたが。しかし体色が黄色というより金色になっているのが観察できると思います。

 

 マジナタスのコケ取り能力には、はっきり言ってあまり期待しない方が良いです。餌の量を絞ればアオミドロのような髪の毛状のコケをチュルチュルっと食べますが、油断すると栄養失調ですぐに死んでしまいます。
 しかしだからといって、餌を十分にやっていると今度はコケが増えるので、それでは本末転倒ですよね。
 また、個体によってコケが好きなのと、ほとんど食べないのとがいます。

 したがって、あくまでも観賞用、あるいはコケの予防用として、そして「もしかしたら、コケを食べてくれるかもしれんのぉ」というぐらいの軽い気持ちで水槽に泳がせるのが、精神衛生上、良いかと思います。

 マジナタスはおとなしいので他の魚との混泳が可能ですが、気の強いカラシンなどと一緒に入れるときは要注意です。突つかれたりしたストレスで死んでしまうことがよくあります。「気がついたらいつの間にか1匹もいなくなっていた」なんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 上手に飼うには、水草で隠れ家を作ってやることと、水槽の中に常に浮泥が十分ある状態を保つことがポイントになります。そうすれば繁殖も容易です。

 

 ちなみに我が家では、マジナタスはコケ取りの常駐部隊としてたいてい水槽に入れています。よく殖えるので滅多に買い足す必要もありません。
 可愛いし、役に立つし、よく殖えるし・・・ということで、マジナタスは私の「水草水槽にお勧め」の魚です。

01.11.20


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